ボーリング プロボウラー・大城仁、魂の投球レッスン開始編【初級編】
Scene:ボウリング場・貸切レーン(朝8時)
チサト(超ハイテンション):「いよいよ! ついに! 来ちゃったよ! あの伝説の男が!!!」
レナ(腕組み):「過去に公式戦でパーフェクト7連発……データ上、確かに“伝説”です」
富澤:「えっ!?そんなレベルの人に教わるの!? ちょ、心の準備ゼロなんだけど!?」
野田(すでに土下座):「……すみません、ピンに謝る時間をください……」
リョウ(スッと立ち):「……あ、来たよ」
仁、登場(レーンの奥から無言で歩く。Tシャツに “300 CLUB”。目が死んでる)
仁(低く、超しぶい声):「……全員、立て」
ひとり(小声):「あっ、はい、すみませんっ、すぐ立ちます、ごめんなさい……」
瑞稀:「開始2秒で軍隊式。これは……期待できますね」
伊達(ボールを持ちながら):「この雰囲気……警察の特殊訓練に近い。苦手だな……」
仁の初教示:『まず、立て』
仁:「ボウリングはフォームが9割だ。フォームが整っていなければ、球は命令を聞かない。
……投げるな。まず、立て」
チサト:「え、うそ、投げさせてくれないの? 球転がしたくて来たのに!」
副部長(神妙に):「……これは、呼吸である。球の前に、姿勢。静と動の分断点だ」
亀田:「要は“立ち姿がダメなら人生もダメ”ってことよ。昭和のコーチはだいたいそれ」
フォーム練習地獄・開始
仁(鋭く):「そこのお前、助走で身体がブレる。ピンを見るな、線を見ろ。軸を意識しろ。お前は中心が死んでる」
圭介:「俺!? 今、俺!? なにその“お前は中心が死んでる”って人生ダメ出しみたいな指導!?」
仁:「そこ、右手と右足が一緒に出てる。ロボットか」
レナ:「それは私です。制御の問題ではありません。癖です」
仁:「癖を殺せ。癖がピンを逃がす」
野田:「ひっ、癖……私の人生は癖の集合体です……すみません……」
リョウ(一投後、球が後ろへ):「……仁さん、今のは“球の魂が逆走”してました?」
仁(無言で頷く)
全身筋肉痛、つづく
夏美:「も、もうダメ……腕上がんない……これ本当にスポーツじゃん……遊びじゃなかった……!」
ひとり:「私、もうピンとかどうでもいいです……スコアじゃなくて、生きて帰ることが目標です……」
チサト:「いやでもさ! 投げ方、めっちゃ綺麗になってきてない!? 仁さん、見て見て!」
仁:「……お前はいつも騒がしいが、投げる時だけ黙る。それが、お前の良さだ」
チサト:「へへっ、褒められた~♡」
伊達:「……全然褒めてないと思うけどな、それ」
唯一のプロ対応者現る
アイボー(淡々と):「私のフォームは先ほどの仁氏の言語的指示と一致しました。関節の稼働角度も最適です」
仁(まじまじと見つめて):「……お前、感情がない。いいな」
アイボー:「感情は投球にとってノイズです」
全員:「こわっ!!」
エンディング
仁(集団を見回し):「今日は、1球も投げていない。だが、明日から投げられる。
……“立ち方”を覚えた者だけが、倒し方を知る。初級、合格だ」
瑞稀:「意味深…!でもちょっとかっこいい……!」
副部長:「あの一言に“投げない日”の意義が詰まっていたな」
富澤:「いやいやいや!ボウリングしに来て、1球も投げてないってどゆこと!? 酷くない!?」




