パラグライダー【番外編】空撮ドローン事故:
「それ、今、録っちゃダメなやつーーーっ!」
〜パラグライダー講習・記録係の悲劇と、風に消えたSDカード〜
Scene 1:空撮班、結成
場所:長野県・パラグライダー講習修了から数日後、大学の講義棟前ベンチ
夏美(いつもの調子でスマホ片手):「てことで! 次のサークル企画、“あの飛行シーン”を動画でまとめてYouTubeに上げちゃおうって思ったわけよ〜!」
圭介(疲れた顔):「いや、誰かの雄姿がバズったらいいけど、事故った姿とか入ってたらどうすんだよ……」
チサト:「え、私それ大歓迎☆ 転んだとこ何回も再生されたい」
たきな:「録画されるなら、再テイクを要求します。あの日の私のフォームには乱れがありました」
ひとり(ぽつり):「風の音……録れてたら……聞き返したいな……」
富澤:「じゃ、わたし編集やるっす! 音声に『風音だけ版』『絶叫だけ版』って切り分けて……」
瑞稀:「“音声オフ希望”って人、絶対いると思う」
アイボー:「その場合、モザイクとミュート処理を……」
Scene 2:撮影当日・ドローン準備完了
場所:大学裏の河川敷(飛行練習のための再集合)
部長(真剣な顔で書類確認):「ドローン申請、通してあります。飛行許可高度30m以下、機体はDJI Mini 4 Pro、SDカード64GB」
副部長(ゴーグルを装着):「わが視界は、空をとらえた。いざ、離陸」
圭介(操縦者):「GPS安定確認……スロットル上げ……上昇!」
(ドローンが風を切って上昇。全員、空を見上げる)
野田(目を輝かせて):「すごい、ほんとに……飛んでる……」
チサト:「じゃあ私、ジャンプして“飛んでる風”の映像撮る!」
伊達:「お前、足首やるぞそれ」
Scene 3:事件は風に乗って
たきな(冷静に撮影状況をチェック):「目標映像、取得中。ドローンの回転速度正常、風速3m、……だが……」
アイボー(急に):「たきなさん、風速が一時的に7mへ。ドローンの対流バランスが崩れています!」
圭介:「え!? ホバリングが……!」
ドローン:ブレる → 浮く → 横滑り → ………ゴオオオオオ!!
→ 河川敷の水面に向かって突っ込む!
富澤:「おわああああああ!?!?落ちる落ちる落ちるううう!!」
副部長:「風よ、我が目を欺いたか……!」
ひとり(ぽつり):「……風、怒ってたのかな……?」
Scene 4:墜落・そして絶望の沈黙
バシャーン!!
(全員沈黙)
圭介:「……SDカード……映像……あの、“Cカード取得の日”が……」
野田:「私……たぶん……一番“顔芸”してた回だったのに……」
チサト:「ちょっと! 水中回収行くよ!シュノーケルあるよね!?」
伊達:「お前、それ“別の講習”になるだろ!」
Scene 5:分析・反省・そして意地
(講義棟・映像記録班会議)
部長:「記録は残らなかった。でも、“風に飛ばされた”記憶だけは残った。記録はゼロ、記憶はMAX」
副部長:「風に記された映像は、“我々の中にだけ存在する”のだ」
アイボー:「今後の提案:防水ドローンの導入。映像圧縮とクラウド転送機能の搭載を推奨します」
夏美(やけくそ気味):「じゃ、ドローン撮影の再講習やろ。今度はGoPro背負って滑空してよ、誰か!」
たきな:「了解。安全ベルトを二重にして飛びます」
エピローグ
河川敷に咲く一輪のタンポポ。
ドローンは帰らなかった。
でも――「飛んだ瞬間の記憶」は、誰よりも強く、空よりも高く、今も心に焼きついている。




