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パラグライダー 第1回講習:「風のなかのカラマワリ」



舞台:長野県白馬・エアステージ校 高原フライトエリア


標高1100m、風速3〜5m。パラグライダー初心者にとっては“走れるか走れないか”ギリギリのライン。

草むらの斜面には、まだ誰の足跡もない――


Scene 1:インストラクター登場


カミシマ教官(元空挺団):「おはよう! さぁ、ここに来た時点でお前らはもう“飛ぶ側”の人間だ。言い訳は風に飛ばされる前にしとけよ!」


野田:「わ、わ、わたし、飛ぶ予定は、あの、今日じゃなくても…」


富澤(お腹さすりながら):「まず朝ご飯の唐揚げ定食が飛びそうなんすけど…」


亀田(風速計を片手に):「5m越えてるわよ。ほら、無理よ。今日ここで私が飛んだら、たぶん“死者1名”って速報出るから」


チサト:「はーい、死んでもいいから飛びまーす☆」


副部長:「空とは“命の棚卸し”の場だ。背後の風圧にすべてを委ねる覚悟を……」


部長:「副部長、装備ちゃんと締めてから言って」


Scene 2:装備講習


たきな(丁寧にカラビナを締めながら):「ハーネス装着、胸部バックル、メインライザー確認……。問題なし」


ひとり(しゃがみ込んで):「この装備、思ってたよりも……自分の命に近いな……」


リョウ(無言で装着完了。すでに準備万端)


瑞稀:「空を飛ぶ前に……呼吸が整わない」


伊達(取説片手に):「“3秒以上の風の変動には注意”ってあるけど、3秒って短くないか?」


アイボー:「それは“物理的な理解”です。実際は、心拍数と筋力で3秒が“永遠”に感じられます」


夏美(GoProを自撮り棒にセット中):「ねぇ見て〜、“死ぬ直前の顔”ってタイトルでバズらせたくない? いまいい感じだよ!」


Scene 3:助走練習=地獄の時間


(野田、走り出す。3歩で転ぶ)


野田:「きゃああああああああ!? 重心、重心どこ!?」


カミシマ教官:「そこは“前傾”だって言っただろ! 前! 地面に突っ込むくらいでちょうどいいんだよ!」


(富澤、風でパラシュートが引っ張られて後ろにゴロン)


富澤:「いやちょ、ちょっと待って! これって飛ぶんじゃなくて“引かれてる”っすよ!!」


チサト(ものすごく楽しそうに):「きゃー! やばーい!これ一番好きなタイプの失敗だわ!」


Scene 4:ラインが、絡まる


(ひとりのラインがひとりに絡まり、そこにリョウが無言で巻き込まれる)


ひとり:「ご、ごめんなさい、わたし、風と……話してたら……足が……」


リョウ:「……いや、いい。俺も風と話してた」


(2人、見つめ合う。すぐ顔をそらす)


Scene 5:初浮上、でも誰も気づかない


(たきな、静かに助走してほんの数センチ浮いた)


たきな:「……飛びました。風と対話できました」


教官:「おーい、誰か一人浮いたぞー!! 見たやついるかー!?」


チサト:「え? 何? いま私が飛んだってことにしてもいい?」


部長(しっかり記録ノートつけながら):「浮いたのは、たきなさん。6秒、15センチの滑空。次回に繋がるな」


Scene 6:夕暮れ、疲労、でも笑い


瑞稀(空を見上げて):「……風の音が、頭の中の雑音を消してくれるって、ほんとだったんだね」


伊達:「でも身体はバキバキ。もう筋肉がついてこない」


アイボー:「本日の感想を総括します。“飛ぶには筋力と精神力と、異常なまでの空への執着が必要”です」


亀田:「うん、あたしは明日も飛ばないわ。地上が恋しいもん」


富澤:「空より、布団っす……。あと唐揚げ……」


野田(肩で息をしながら):「……でも、ちょっとだけ、“飛べるかも”って思った瞬間……ありました」


ひとり(ポツリと):「……風が、背中を押してくれる感じ、した……」


リョウ:「……お前、たぶん飛ぶよ」


ラストカット:夜の宿舎、みんなぐったり寝落ち中。窓の外には満天の星。


誰もまだ、ちゃんと飛んでない。

でも、「空を飛ぶこと」が、現実になり始めていた。


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