ダイビング Cカード取得後:ナイトダイビング編
タイトル:「暗闇で手を伸ばす」
サブタイトル:「視界ゼロ、鼓動だけが聞こえる」
場所:伊豆・赤沢沖ナイトポイント(エントリー19:00)
天気:晴れ、月明かりなし
水温:20℃ 透明度:良いけれど、見えない
心拍:全員、異常値
scene 1:エントリー前・夕暮れの予兆
マッキー(ガイド):「さ〜て!今夜はナイトダイビング!これはね、“水中散歩”じゃない。“自分との対話”だよ!」
野田(震える声で):「……なんだか今日の海、さっきから静かすぎません……?」
副部長:「太陽が沈んでからは、世界の本質が剥き出しになる……だから夜は嫌いじゃない」
チサト:「え〜!めっちゃ怖いよ!?水中に“顔だけ浮いてるやつ”いたらどうする!?」
たきな:「チサト。心霊的存在は水圧に弱い。理論的に問題ありません」
富澤:「こえええよその理屈!!」
scene 2:入水――「この闇の中に、入るの?」
(ライトを握り、順にエントリー)
ひとり(入る前に呟く):
「……海って、夜になると、“地球”って感じがするんですよね……怖いけど、行きたい……」
リョウ:「じゃ、手、貸すよ」
(ひとり、リョウの手を一瞬握ってから、先に飛び込む)
ボス(背中で語る):
「静寂が支配する場所へ、自分の意思で行く。ダイバーってのはそういうもんだ」
scene 3:水中、ライトが命
(水深12m、真っ暗。頼れるのはライトとバディのシルエットだけ)
たきな(無線マイクに記録):
「視界半径3m。バディとの距離1m以内維持。海洋生物感知0。呼吸安定」
副部長:「“真っ暗な水中で呼吸する”という、この存在論的実験に、私は今、歓喜している」
瑞稀:「副部長、そのメモ音声ログで録ると後で聞いて怖いって!やめて!」
scene 4:恐怖の正体は“自分”
(ひとりのライトが突然消える)
ひとり(心の声):
(あ……ライトが……)
(見えない……誰も……リョウさんも、野田さんも……)
(わたし、また……ひとりぼっち?)
(……違う、呼吸が、聞こえる。わたしの、音だ)
(落ち着いて、手を伸ばしてみよう……)
(→そっと前に出した手が、何かに触れる)
リョウ(声なしに、ライトで“OK”サイン)
ひとり(マスク越しにうなずく)
scene 5:「夜の主」と出会う
(岩陰から突如、巨大なアオブダイが登場)
チサト:「うわぁああああああ!!!いるぅぅぅぅ!!なんかでかいのいるぅぅ!!」
マッキー:「落ち着いて〜!アオブダイは人懐っこいよ〜!たぶん餌もらいに来てる〜!」
富澤:「いや〜無理っす!目が赤かったっす今の!!」
部長:「光の屈折と恐怖は似ている。“見えているもの”が、真実とは限らない」
scene 6:全員集合・“沈黙の輪”
(水中で集合。全員のライトが円を描く)
(それぞれ、ライトを床に照らして、顔を互いに照らさない“無言のハイサイン”)
(その光だけが、全員がそこに“いる”ということを教えてくれる)
野田(心の声):
(わたし、まだ泳ぎも下手で、よくパニックになるけど……)
(ここにいる。この“輪”にいる。それだけで、胸がいっぱいになる)
scene 7:浮上と夜空
(全員、安全停止を終えて、浮上)
(水面に出た瞬間――満天の星空)
伊達:「……これは、正解だな」
リョウ:「誰が見てなくても、星はあるし、わたしたちも、ここにいる」
ひとり(ぽつりと):「……夜の海、怖かったけど……また潜りたい……です」
たきな:「“恐怖を越えて見た光”は、記憶に残ります。よくやりました、ひとり」
副部長:「この夜の経験は、きっと“誰にも言葉にできない”記録として刻まれる」




