表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

ダイビング Cカード取得講習・第3回(最終回)


タイトル:「最終試験と、涙のラストログ」

サブタイトル:「浮上するのは身体だけじゃない。心も、未来も、ここからだ」


場所:房総・海洋実習ポイント(最終日)


天気:曇り時々晴れ。


波:穏やか(ようやく)。


講師:柳川インストラクター(少しだけ喋るようになった)


この日の課題

1.マスク脱着と水中呼吸の安定

2.中性浮力の調整と移動

3.バディシステムによるコンパスナビゲーション

4.緊急浮上手順(EBA)

※これらをこなせば、晴れてCカード取得。


scene 1:「誰も、完璧じゃない朝」


(宿の食堂で軽く朝食)


富澤:「あ〜胃がねじれる……今日試験って、わかってるのに全然落ち着かないっす」


野田パンをちぎりながら:「私は、昨日までの復習をまとめてきたんです。16ページ……A4で……」


チサト:「野田ちゃん、海に持ってっても読めないよ〜。え?防水印刷とかしてる?」


ひとり(スーツを持ってうつむく):「わたし……今日、もし合格できなかったら……本気でバンド組みます。沈むバンド名で……」


リョウ:「“水中音波”。いいじゃん」


scene 2:「実技開始――“全身で語る日”」


(器材チェック完了。各自が海へ)


柳川:「今日は試験。だが減点より、“姿勢”を見ている。海は数字で測れない」


たきな:「了解。減点対象外なら全演目を正確にこなすだけです」


副部長:「“海は測れない”……なんという深く、しかし浅い言葉……哲学的ノートに記載……」


アイボー:「記録開始。潮流微弱。視界6m。参加者全員、心理状態やや緊張」


scene 3:「マスク脱着地獄」


(最初の難関・マスク脱着)


ひとり(呼吸を整えながら):「……は、はずします……!!」


(マスクを外した瞬間、水が鼻から入ってむせる)


ひとり(心の声):

(だめ……また、パニックになる……)


(……でも……リョウさんの手が、近くに……見えてる)


(落ち着ける。わたし、“一人”じゃない)


(→マスク装着、クリア成功。水中でうっすら笑顔)


柳川(心の中で):「……よくやったな」


scene 4:「ナビゲーション課題・野田と富澤ペア」


(コンパスで一定のコースを辿る課題)


富澤:「あれ?あたしら東に行ったはずが、北に向かってないっすか!?」


野田:「えっ!?も、もう一度正確にコンパスを合わせましょう!45度東南東!」


ボス(遠くで手を振っている):「お前たちの方向は“努力”を向いてる。それでいい」


夏美:「いやそれ褒め言葉に聞こえないって!」


scene 5:「緊急浮上――リョウの叫びなき浮上」


(残圧低下を想定した緊急浮上訓練)


リョウ(口からオクトパスを外して、ジェスチャーで“息切れ”)


(すぐにチサトが対応。オクトパス呼吸→ゆっくり浮上)


チサト:「リョウちゃん、いけてるよー!酸素は友達っ!」


リョウ(浮上中):「……案外、浮かぶのって怖くないんだね……下に残してきたもの、もうないし」


scene 6:「最後の浮上。そして、水中ハイタッチ」


(全課題を終え、海中で最後の自由時間)


(副部長が、手を差し出す→部長が静かにタッチ)

(伊達→瑞稀→たきな→夏美→富澤→野田……全員が円になって手を伸ばす)

(最後に、ひとりがゆっくりリョウに向かって手を出す)


ひとり(水中で):

「……ありがとう。これで……少しだけ、“自信”ってやつ、持てそうです」


(リョウ、静かに笑ってタッチ)


scene 7:ログブック記入「みんな、Cカード取得」


(宿のテラスでログブックにサインしあう)


柳川(ついに口を開く):「全員、合格だ。……驚いたよ。こんなに“うるさいグループ”は久しぶりだ」


チサト:「うるさいのは愛があるってことですよっ☆」


富澤:「これであたしら、もう海の女(※仮)っすね」


たきな:「正確には“オープン・ウォーター・ダイバー”ですが、表現としては受理します」


野田:「……わたし、泳げないって言ってたけど……“呼吸”って、やっぱり、地上でも水中でも同じなんですね……」


瑞稀:「なにそれ深っ。いや水中だけに」


Final Scene:「浮上のあとの沈黙」


(帰りのバス)


(みんな、眠っている。ひとり、リョウ、野田、たきな、チサト……それぞれの表情は静かだ)


ナレーション(副部長の筆記より):


“人はなぜ海に潜るのか”という問いに、科学も哲学も答えきれない。

ただひとつ言えるのは――

「そこに“見たことのない自分”がいる」からだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ