ダイビング Cカード取得講習・第2回「海洋実習で誰か消える回」
サブタイトル:「潮流は感情を巻き込み、誰かが見失われる」
場所:房総・伊戸のダイビングポイント(船上)
天気:晴れ、でも風速6m。うねりあり。
インストラクター:柳川(変わらず無言)+若手補助・さやか(笑顔だが鬼)
Scene 1:ボート乗船から船酔い地獄
チサト(千里):「はいっ海ィィィィ〜!!きた〜!!今日こそ潜るぞ〜!!」
(言った直後、波が揺れ、富澤がしゃがみ込む)
富澤:「あっ、むりむりむり、あたしもう今、顔の色が船体の色と同化してる……」
野田:「あの……私……ボートの上に立っているだけで社会的死を感じています……」
リョウ(すでに座って寝てる):「……生と死の間にあるのが、“うねり”だよね……」
Scene 2:エントリー・緊張とパニックの波
柳川:「器材よし、残圧よし。水温18度。順番にエントリー」
(ジャイアントストライドエントリー=船から大きく一歩で入水)
たきな:「風速6mの環境下でこの動作……最適とは言えません」
副部長:「一歩とは時に“落下”とほぼ同義。美しい」
ひとり(マスクの曇りを直しながら):「あの……うまくいったら拍手してほしいです……」
(→バランスを崩して横に転げ落ちる)
夏美:「うわっ、ひとりちゃんスプラッシュエントリー!でも立派だったよ!見た目は大事故だけど!」
Scene 3:水中で“誰かがいない”
(水深12m。透明度やや低い。講習中、ふと全員が気づく)
瑞稀(泡を見ながら):「……あれ?リョウちゃんの泡、見えなくね?」
伊達:「全員、5秒停止。周囲確認……リョウ、確か俺の右側だったが……」
たきな:「いません。潜降ロープからも逸脱。ログ的には8分前の深度10.8mで離脱」
チサト:「ちょ、ちょっと待ってってば〜!ねえ、本当にいないの?マジで?」
野田(パニック寸前):「あの、あの、私が見てたんですけど、“ちょっとクラゲ見てくる”ってリョウさんが……でも……それは冗談だったんじゃなくて……本気だったんですか……?」
Scene 4:深度11m・リョウの漂流
(静かな岩礁エリア。音はなく、自分の吐く泡だけが規則的に上昇する)
リョウ(心の声):
(……泡を見てると、なんかどうでもよくなるよね。上に行けば“人間の生活”があるけど、下は全部静か。何も言われない)
(みんな、気づいてるかな……)
(……気づいてなくても、まぁ、いいや)
(でもちょっとだけ、みんなの泡が見たかった)
Scene 5:捜索と再会
(インストラクター柳川が水中ボードに「SEARCH FORMATION」と記す。全員で扇状に展開)
ボス:「水中では“感じる”んだ。どこに、誰がいるか」
ひとり(目を見開く):
(あ……いた……あの背中……)
(わたし……またリョウさんを、見失ってた……でも、まだ、戻れる!)
(→浮力を保ったまま、静かに手を伸ばす)
ひとり(水中で):「……リョウさん、帰りましょう……」
(リョウ、マスク越しにわずかに笑う。手を取る)
Scene 6:講習終了後、ロギングタイム
(宿のロビー)
瑞稀:「てか、今日のログ、“リョウロスト事件”ってタイトルでいこうぜ」
伊達:「迷子になるのは悪じゃない。戻ってくる意思があれば、問題ない」
夏美:「うちら、ダイビングしながら友情育ててない!?これが“海の青春”ってやつ!?」
チサト:「まじで!まじで映画化いける!『泡の向こうで、君を見つけた』ってタイトルで!」
リョウ:「それ、クサいけど……悪くない」
野田:「……ひとりの手が、誰かの帰り道になる……そう思うと、がんばれます……」




