第1話「やって来る」
「そろそろだな」
美味しい朝ご飯の時にお父さんはそう言った
「＿＿何が？」
「それはもちろん冒険者だ、お前も15歳だろ。
今は大冒険時代！！俺の直感がそう言うんだ」
「ご飯が不味くなる様なこと言わないでよ」
父の名はオオダイ・アガリ。
六大冒険者....？という肩書を持っているらしい。
「カチャ、カチャ」
「ズズッ.......カチ........」
「「ご馳走様でした」」
父は足早に着替えの入っているクローゼットへ向かう、それは僕も同じだ。
「これからエーコクに向かうぞ」
『エーコク』―――――――
僕の住む円形の自閉街『ユートグリラ』から730km先に栄える、多くの行商人、新聞屋、そして冒険者が集まる大国だ。
「はァ...はァ―――」
『ユートグリラ』から平原の地平線の先まで伸び続ける距離以外対して酷でも無いグルーン街道を通れば其処は、
「やっと着いたぁ！！『エーコク』！！！！！
お腹減ったァ〜...！」
もうとっくに昼時となっていた、へたり込み休憩する僕の横で父は入国手続きをしていた。
......ほぼ顔パスだけど。
「オオダイ、待っていたぞよッフォッフォッフォ」
すると威厳のある50歳くらいのおじさんが出迎えて来た
「トノジジイ、何の用で呼んだんだ？」
父は思春期の息子の様に、怠そうな面持ちで問う
「魔王がそろそろ襲来してくる、全冒険者が顔を見る事さえ叶わなかった諸悪の根源じゃ。
(ジジイ...か、こんな120歳の老いぼれでもエーコク筆頭冒険長なんじゃがな)」
「そりゃあまた突拍子も無い事を言うな、根拠はあんのか？」
「お前は何年も冒険をしていないから分からんじゃろうが、年々魔物や敵性十百神が大幅に手強くなっておる。
七段冒険者以下の討伐依頼死亡率は4割を超えた」
僕には何の話か全く分からなかったが、重大な事であるというのは想像に難くなかった。
「これは魔王が魔界から、この世界に近づいて来ているという証拠じゃ、奴は必ず目覚めてエーコクと全面戦争を仕掛ける。
少しでも戦力が欲しいのじゃ。」
「だから俺の息子まで連れて来させたと」
「正解、幼子の時から六大冒険者の一人であるオオダイ・アガリが修行をさせて来た金の卵。
実戦を以って孵化させたいとは思わないか？」
「―――――」
「.......あぁ、そうだな」ニッ
「良い判断じゃ、
オオダイの息子よ、名前を聞こう。」
「ア....」
『アガリ・エールマです！！！』
[To Be Continued....]
