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14 3人目の監視役候補

評価ありがとうございます!

次からは高評価をもらえるように励みたいと思います!

それと、次からは別作品を投稿したいと思います。

 ドクドとレドアの監視役任命はほぼ決定。けどその前に、俺が名誉転移魔法使いの定めを熟読することになった。

 ドクドに言われたからだ。大事なことは早く憶えろだって。その通りだと思ったので、大人しく従う。

 すると、名誉転移魔法使いとは、大したことない役職のようだった。

 毎日国に商品を売りつければいいだけ。やることといったらこれくらい。

 あと、故郷の知識、技術提供を行うこと。とあったが、それは自主的ではなく、調査する者が現れたらでいいらしい。

 なので、実質やることはプルーメにいた頃とほぼ変わらない。

 あと気をつけるべきことといえば、住まいをきちんと決めて、名誉魔法使い専門官に申請すること。

 その住まいも、書類によるとすぐに担当者がやって来て、これから住まい選びが始まるそうだ。

 それ以外は、ほぼ自由。

 本当にこれでいいんだろうか、名誉転移魔法使い。いや、いいならいいでいいんだけど。

 とにかくそこまで読むと、丁度住まい選びの担当者が現れた。

「こんにちは。あなたがナル殿ですね。私は今回あなたの住まいを紹介させていただく、センバツです」

「はい。よろしくお願いします」

「では、早速屋敷の紹介に向かってもよろしいでしょうか?」

「はい。お願いします」

「ナル殿。俺も動向しよう。監視役なのでな」

「私も行きます。住まいが決まるなら、今度からそちらに向かうので」

「おや、監視役は一緒に住まないのですか?」

「俺はどちらでもいい」

「私は、ナルに任せる。引っ越しなど、考えてもいなかったのでな。うん、後で決める」

「では、行きましょう」

「はい。あ、その前にフィーコさんに言っておきますね」

「はい。では私は庭で待っています」

 俺はフィーコさんと会って、これから住まいを決めると話す。

「フィーコさん。ちょっといいですか?」

「はい。なんでしょうか?」

「実はこれから、俺の住まいを探すことになるんです」

「そうですか。それは良かったです」

「それで、よければフィーコさんやコランタさん達の住まいも一緒に決めようと思ったんですけど、どうでしょうか?」

「え、いいんですか?」

「これから俺がセイテアに住むなら、フィーコさん達も住まいがあった方が良いのではと思いまして」

「なるほど。確かにそうかもしれません」

「いやむしろ、この際一緒に住んじゃった方が面倒がないかなーとは思いませんか?」

「え、ナルさんと一緒ですか!」

「ニャー」

「一緒といっても、俺は基本夜は故郷に帰りますし、誰かがいてくれた方が安心しますし。あ、監視役になったドクドさんやレドアさんも住むかもしれませんので、皆仲良く、といった感じです」

「そ、そうですか。ですが、私はどこか安い家でも探しますので、そんなよくしてくれなくても平気ですよ」

「でも、家を探すにもお金かかるし、良い場所を探すのも大変でしょう。フィーコさんが俺の専属魔法使いなら一緒の家に住んでもらってもいいと思いますし、何より毎日の付与魔法が移動しない分楽になると思うんですが、どうでしょう」

「それはあ、たしかに良いですけど」

「でしょう。なので、よろしくお願いします。ぜひ一緒に住んでください!」

「え、あ、その、ナルさんに言われたら、ええと、そのお、はい。喜んで?」

「やった、ありがとうございます。では、せっかくなので一緒に家を選びましょう!」

「え、あ、今からですか?」

「はい。何か用事がありましたか?」

「いえ。えっと、行きます!」

 こうして、俺はフィーコさんもつれて住まい探しに行くことにした。


 馬車に揺られて移動する。中にいるのは、俺、フィーコさん、レドアさん、センバツさん。

 ドクドさんは御者の隣で外に目を光らせている。

「しかし、名誉転移魔法使いとは。魔法封じの腕輪はいらないのですね」

 センバツさんにそう言われた。

「はい。手錠バージョンのはあってもすぐ外れましたので。普通は必要なんですか?」

「ええ。転移魔法は場合によっては危険ですからね。いつもは魔法を封じられていて、ここぞという時に使われます」

「なるほど」

「まあ、私も監視対象を強くみはらなくてもいいので、そこは気が楽だ」

 レドアさんにそう言われる。

「良かったですね、ナルさん」

「はい、フィーコさん。でも、転移魔法使いって大変ですね。常に監視されて」

「まあ、少なくとも私はナルを敵視しているわけではない。ドクドもそうだろう。だからそう気負わないでくれ」

「はい。ありがとうございます。レドアさん」

「ところで、ナル殿はどんな住まいがよろしいのですか?」

「そうですね。一応皆が泊まれるような広い屋敷が良いと思ってます」

「では、もしかしたら最初の屋敷が気に入るかもしれません。ご期待ください」

「はい。ありがとうございます、センバツさん」

 やがて俺達は、第一物件を目にした。


 広い庭に、きれいな屋敷。

 庭の真ん中には噴水まである。

「ここが最初の物件になります」

「わあ、ステキです!」

「これは、すごい」

 フィーコさんとレドアさんが感動していた。

 ちなみに俺は圧倒されている。

「どうぞ中もお確かめください」

「は、はい」

「これは代金が高そうですな」

 ドクドさんのその言葉で、俺はハッとした。

「センバツさん、先に値段を聞かせてください」

「い、いえ、先に内装をご確認していただければ。家具も既にありますよ」

「センバツさん。ここ、おいくらですか?」

「ニャー」

「に、2000万クエンです。月々」

「もっと安いところにします」

「そ、そうですか」

「そうですよね。ここはちょっと、お高すぎますものね」

 センバツさんとフィーコさんが残念そうにする。でも、お金は大事だ。もっと考えて使いたい。

「あの、家賃百万、いえ、五百万くらいのところはありますか?」

「はい。ございます。では次は、そちらをご紹介しましょうか?」

「はい。ぜひお願いします」

 今までの稼ぎ方ができるとするなら、月五百万くらいならなんとかなる。場合によっては、もうちょっと高くてもいいだろう。

 それで皆が泊まれるなら安いものだ。

 その後俺たちはいくつかめぐって、夕日が落ちる前に一つの物件を決めた。

 庭付き、部屋も多い屋敷。ちょっと年季が入ってるけど、まあ大事に使えばいい。

 その後センバツさんが、専門官に住まいの申請をしてくれるそうだ。なので俺たちはこれから月末の家賃支払いを気にしつつ、勝手に住んで良いとのこと。俺は早速フィーコさん達に一緒に住もうと提案した。

 フィーコさんは賛成。ドクドさんも了承した。レドアさんはちょっと迷ってから、ひとまず家から通うということになった。

 その後俺たちは、シュートルブ伯爵に住まいの決定を告げるため、一度伯爵屋敷まで戻る。

 するとそこで、3人目の監視役が待っていた。鎧と剣を装備した、若い男だ。

「はじめまして。騎士のピーリッツです」

「どうも。名誉転移魔法使いのナルです」

「ニャー」

「ところで、こちらは他の監視役の方々ですか?」

「ああ。俺はドクドだ」

「私はレドアだ」

「老戦士と、女か。それにレドアといえば、はん。赤毛姫か」

 む、なんか感じ悪いな、この人。

「おいお前、ここにケンカをしにきたのか?」

 レドアさんも対応が一気に冷たくなる。まあ、当然だな。

「先に聞いておくが、ドクド、レドア。君たちはもう監視役になると決めたんだな」

「ああ」

「そうだ」

「なら話は早い。俺は監視役の話、辞退させてもらう。転移魔法使いならいざしらず、名誉転移魔法使いとかいう聞いたことのない者など、それほど監視せずともよいだろう。俺は騎士団に戻りたい。それでいいな?」

「お前の好きにしろ。だが、話し相手はナルにすべきではないか?」

 レドアさんがそう言うと、ピーリッツが俺をバカにした目で見た。

「ああ、そうだな。ナル。老戦士と赤毛姫に守られて、せいぜいそのまま平和に暮らすが良い。まあここは王都だ。それほど脅威もありはしないだろう」

 そこまで言われたら、俺の返事はもう決まったも同然だ。

「そうですか。ピーリッツ。では、早々にお帰り願いたい」

「ニャー」

「ああ、そうさせてもらう。隊長に言われたので大人しくここまで来てやったが、そもそも俺の居場所は騎士団だ。こんな名誉も誇りもないところ、俺には似合わない」

「待て。その言葉取り消せ」

 レドアさんが一歩出た。

「たしかに騎士団の方が華々しい仕事だろう。だが、どの仕事にも誇りはある。私達を愚弄すると言うのなら、みすみす帰すわけにはいかない」

「では、どうすると?」

「謝れ。それか、決闘だ」

「よかろう。赤毛姫。ではそなたと決闘をしてやる。いざ表に出ようではないか」

 ピーリッツがそう言って悪い顔をした。


 レドアさんとピーリッツが剣を構えて向かい合う。

「それではこれより決闘を始める。ルールは簡単。倒れたら負けだ。だがころんだ場合はすぐ立ち上がることを許す。その判断は俺がおこなう」

 二人の間でドクドが言った。

「いいだろう」

「わかった」

「では、決闘、始め!」

 先にレドアさんが動いた。

 高速の剣技でピーリッツを攻撃する。ピーリッツはそれを受け、時折かわす。

「ほう、なかなかやる。騎士になっただけのことはある」

「余裕だな!」

「ああ、余裕だとも。もちろん知っているよな。赤毛姫。赤毛姫の実力は、中の下だと、皆が言っている。そして俺もそう思う。そして俺は、お前よりも強い」

 ピーリッツが一度、反撃に出た。

「く!」

 それだけで、レドアさんの態勢が乱れる。

「これで終わりだ」

 ピーリッツがレドアの腹を斬った。

 いや、刃の腹で殴ったのか。レドアさんはしゃがみこんでしまう。

「く、がはっ」

「これで勝負あったな」

 ピーリッツがそう言ってドクドを見ると、ドクドはうなずいた。

「ああ。勝負あり。勝者、ピーリッツ!」

「ふ。弱者がうぬぼれやがって。もう二度と俺の前に立つな。いや、そんなことももうないな」

 ピーリッツがそう言って去る。俺たちはレドアさんに走り寄った。

「大丈夫ですか、レドアさん!」

「ああ、大したことは、ない」

「あの人、とっても嫌な人でした。私、くやしいです!」

「ニャー!」

 俺もナゴメルも、フィーコさんと同じ思いだ。

「しかし、私が負けた。私は、弱い故に誇りを守れなかった」

「そんなことはない。お前は誇りのために戦った。お前は立派な騎士だ」

 ドクドさんがそう言う。

「そうです。私、レドアさんの方がかっこいいと思います!」

 フィーコさんもそう言う。

「はは、ありがとう。少し、救われる」

「ふむ。では更に救うついでに、レドア。今日から俺と鍛錬をしないか?」

「何?」

「俺なら、お前をもっと強くしてやれる。きっとピーリッツにも勝てるようになる。実力的にな」

「それは、頼む。私はもっと、強くなりたい」

「では、私もお手伝いします!」

「俺も手伝うぞ!」

「ニャー!」

「み、皆」

「はっはっは。そうだな。皆が応援してくれるそうだ。レドア、良かったな」

「皆、ありがとう。私は、皆の期待に応えたい」

 考えは一致した。皆が、レドアさんの打倒ピーリッツを望んだ。

 俺も少しは、レドアさんの力になってやる!


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