引っ越し
冬休みが終わる頃に高校入学がきまった。
卒業前に大谷さんから電話があり「事務所の近くに小さな一戸建ての家が20万円で貸し出している」と言われ、資料をネットで送って貰った。
一階が1LDkで風呂とトイレが別にあり、2階に8畳の部屋と6畳の部屋が2つあった。
マンションと違いオートロックではないのでセキリテーの事が気になって大谷さんに電話で聞くと、笑いながら「この辺りは高級住宅地で変な奴はおらんし、有名人も多く住んでるから大丈夫や。もちろん監視カメラはつけなあかんけどな」と言われて、そこの家を借りる事にした。
卒業式の前に引っ越しする事にして、家電や家具などは新しく東京で買う事にして引っ越し業者には頼まず、兄貴の入っている事務所の人に手数料を払い手伝って貰う事にした。
荷物はあまりなかったが、ユーチューブの主役のゴットとオカンを車に乗せてもらい東京に向かった。
家電や家具は兄貴と大谷さんに「高い物じゃなくてもいいので、50万円位で揃えておいて欲しい」と言っていたので、そろえてくれていた。
オトンの事で家に介護士に来てもらっていたが「22時まで」だったので、それまでにオカンが帰らなければ行けなくて朝早くに家を出た。
家に着き、家に着く前に電話を掛け兄貴に伝えていたので来てくれていて手伝ってくれた。
片付けを済ませゴットを2階の6畳の部屋において大谷さんの事務所に向かい事務所に入った。オカンが少し緊張しながら大谷さんと挨拶を交わして、大谷さんと事務員と俺達とで書類のやり取り済ませ、みんなでソファーに座ると大谷さんが
「来年、映画を作るから主人公の子供の頃役で龍一に出て貰おうを考えていて、映画の記者会の時に内の事務所にに入ったタレントとして紹介もしようと思ってる」
「え」と、驚いてオカンと兄貴と顔を見合わせていると、大谷さんが笑いながら「初めは俺の番組に顔を出しながら少しずつ売り出そうと思ってるから」と言われ、もう一度オカンと兄貴と顔を見合わせた。
「ギャラはそんなに出えへんけど、それなりには出すから」
「お金の事はユーチューブで稼いでいるから大丈夫ですけど、緊張すると思って」
「最初はみんな緊張するもんや。慣れや、慣れ、直ぐに慣れるわ。記者会見の日が決まったら練習したらいいんや」と言われ、その後、世間話を少しして事務所を後にした。
大谷さんの車で送って貰い兄貴と家に行き、オカンは東京駅まで送って送って貰った。
家に帰りコットの顔を見てからリビングのソファーに座り、ペットボトルのお茶を飲みながら兄貴が話を始めた。
「今年入学してくる1年の情報が入ってきたけど、強烈すぎる。
まずは女子やけど全国優女子コンテストでグランプリを取った七海、子供の頃からこっちの世界で活躍していて勉強が凄く出来ると言われている真美、後はいろいろなグループに入って女子が5人、現役で活動していて目立つ女子はこんな感じで今までの学年と比べて平均的やと思うけど、男子が強烈なんや。
井中と村田の5人組の一人の太郎、こいつは前にも言ってたやろう。それから総合格闘技の中学の部で全国優勝した山田。父親が元総理で兄貴が政界に出馬して何時かは総理になるだろうと言われてる弟の高橋。不良で有名で大谷さんとも仲が良い圭介が可愛がってる中迫。こいつがかなりヤバいと言われていて、こいつの兄貴が大阪のボーヤン(暴走族)の総長で、こいつも恐喝とボケ(シンナー)の売買で捕まって鑑別所に行って、圭介さんの働きで少年院には入らんでもいいようになったと言う噂や。圭介さんが金城の父親と深い繋がりがあって金城が来年卒業したらこいつを後継者にするんちゃうかとも言われている。今年はとんでもない男子が集まってるから気を付けなあかん。龍一の事も『YouTubeでバグってる奴が入学して来る』って、伝わってるやろうからな」
「面倒くさそうやな、喧嘩とか売られへんかったらいいけど」
「入学式が終わったら井中と村田は太郎がいてる、金城は中迫がいてると言う口実で1年のクラスに行くやろうけど、なるべく目立たない様におとなしくしとった方がええやろう」
「分かった。おとなしく、目立たんようにしとくわ」