初回
区切りは適当です。
第一話とかないから困りもの。
一気に書くと疲れるし直せないし…
読みづらくて申し訳ない。
僕の田舎は、たいへん遠くにあった。
東京から新幹線で2時間、さらに県内を電車で2時間、そして着いた駅から徒歩で約20分。この遠距離こそ、10年の無沙汰の理由の全てだった。
僕には姉と弟がいるが、3人とも乗り物酔いが酷く、特に電車が苦手で、帰郷の折りは必ず父が数百キロの運転をしていた。
僕は高校の通学に際して電車に乗る練習を積んだため、今では多少の気持ち悪さを感じるだけになったが、近所の学校を選び続けた姉は社会人となった今でも免疫がなく、弟に至っては交通手段を一生、徒歩しか持たない気でいる。
母が病気で腰を痛めてからは、つき合うように父もあまり外出しなくなった。
あの海もここ2、3年は見ていないらしい。
毎年掃除をしてくれる親戚には電話や手紙で挨拶しているものの、やっぱり行った方がいいのだろう。
特に息子などは10年顔を見せていないのだから。
つまり今回の僕の旅行は、どちらかといえば慰安というより任務で、断ることなど出来なかったのだ。
もちろん、僕自身あのどこまでも続く海をもう一度眺めたいという気持ちはあった。あったが、しかし、何分、肩身が狭い。言葉の裏に潜む空気は読まなくてはならない。
長く物を考えているせいか、なんだか疲れてきた。
新幹線はすでに僕を乗せており、東京を離れて熊谷市を過ぎた所を走っている。
いつも思うのだが、このシートはどうしてこんなに眠りを誘うのだろうか。まだ少し乗り物酔いがあるとはいえ、もう新幹線の快適さは充分に分かる。(立ったままの乗車は厳しいが。)
2時間もあれば聴いてるアルバムも一巡、さらに一巡し、やはり飽きて子守歌へと変わっていった。