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底辺悪魔の底辺冒険譚とその他  作者: 林集一
第1章 名もなき辺獄の放浪者
3/13

第3話 誤算だゴルァ!

前回の底辺悪魔は


・山の麓に人の形をした悪魔がいた。


・そいつはインプを操って魔石を採掘してた。


・魔石は栄養。


◇ ◇ ◇ ◇


 ……甘かったか……! 


 露天鉱床で見た“人の形をした悪魔”にだけ気をつければ良いと思っていたら下手を打った。


 今、俺の脇腹には滅茶苦茶デカい穴が空いていて、そこから緑色の霧の様な魔力が漏れ出していた。


「クソっ……! 誤算だゴルァ……!」


 時は数時間前に遡る。


◇ ◇ ◇ ◇


 俺は、人の形をした悪魔を避ける為に尾根から遠ざかりながら、時折地面から顔を出している緑色の魔石を拾い集めていた。


 この魔石とやらもインプと同じく地表から湧いて出てくるのか、探せば割と沢山見つかった。気持ちは自動販売機の下とか側溝に落ちてる小銭拾いしている感覚。


 しかし、初めに見つけた物ほど大粒のものは少なく、殆どは砂粒の様に小さかった。半時間くらいブラついて両手で掬い持てるくらいしか取れない。


 だが、それでも魔石の効果は大きくて、ジャリリと食べれば身体の中を巡る“魔力”の流れの様なモノがビンビンと強くなっているのを感じた。


「このまま行けばすぐ強くなるやん?」


 俺はウキウキだった。


 その時までは……!


 身体の中にある緑色の流れがドクンドクンと騒がしいくらいに音を立てている事に気付いたのは、デカい鳥の形をした骨に襲われた時だった。


 背後からの一突き。デカい鳥はすれ違いざまに俺の脇腹を千切ってかっさらっていった。


「イデェエエエ!」


 直前のゾワリとする胸騒ぎ。僅かに身体を傾けたのが功を奏したのだろう。全身を持っていかれる筈だった所が致命傷で済んだのだ。


 身体を動かしていなかったらそのまま拐われていたって事か……!


 遠ざかる鳥がゆるやかなUターンして来た時、鳥肌が全身を走った。


「ヤベェエエエ!」


 俺は転がり込むように道沿いにあった岩の隙間に飛び込む。


 すると、さっきまで俺がいた所の地面がガリと削り取られた。1秒も遅れていたらガッツリと食べられていただろう。


 岩の隙間にハマりながら死の恐怖が支配する。


「脇腹……! 俺の脇腹……! クソっ!」


 脇腹を3分の1程えぐられてはいるが、人間の身体ではなくインプだからか……言うほどは痛くなかった。


 ただ、折角魔石を食って貯めた緑色のエネルギーの流れが緩やかに漏れ出しているのが……“やばい”気がした。


 このまま流れるままにほったらかしていたら……死ぬ。そう言う感覚だ。


 無我夢中で傷口に手を当てると、シュワシュワと音を立てて傷が回復していった。どうやら緑色のエネルギーの流れは俺にとっては人間で言う血液みたいな効果があるらしい。


 患部に留まってすぐ止血、すぐ再生。


 俺の身体には赤い血が流れてはいないみたいなので、止血と言う表現も如何なものかと思うが、ちょんちょんと垂れる体液らしきものは止まった。


 まだ生きてられる……か?


 ◇ ◇ ◇ ◇


 脇腹をゴッソリ抉られてから数時間。


 結論として、えぐれた部分は復元し命を繋げるに至った。


 驚くべきはえぐられた肋骨的な骨まで再生している事だ。インプの回復力は人間の何十倍もあるらしい。




 




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