第13話 リザルト
前回の底辺悪魔は〜
・俺は急遽頭のおかしそうな悪魔を演じる事にした。「グヒグヒヒ、ギエピーーーー!」
・「俺を召喚した次聖卿は俺が食っちまったぜ……! 次は生贄に差し出されたコイツだヒャッハーッ!」
・俺は薄れゆく意識の中、再び辺獄へと突き落とされた。
「起きなさい、ナモナキよ」
「いや、起きてるってば」
ハッと目を覚ますと目の前に影の塊みたいな魔物が居た。いや、もしかしたら魔物じゃないかも知れない。影なのに丸みを帯びていて、手の生えたコウモリみたいな姿だ。
反射的に「起きてる」とか言っちゃったものの、感覚的には寝落ちした時のソレだ。めっちゃ寝てた。
いやーはじめまして、おはようございます。
確か、辺獄に突き戻された後……めちゃんこ疲れたから骸骨鳥に見付からなさそうな岩場で眠ったんだったか。
影の塊の表情は変わらないが、何となく怪訝そうな空気感を出されたので、ちょっとした笑顔で答えた。
「我は眠りし者にしか見えぬ」
「ごめん、嘘付きました。ガッツリ寝てました」
図星突かれた時は素直に謝るのも処世術よ。
「……で、すいませんがどちら様で?」
「我は闇の祝福をもたらす者だ」
「闇の祝福?」
「左様。闇に産まれし者が光の祝福を受けし者を葬れば、かの者の祝福を反転して闇の祝福を与える契約になっている」
「あー、確かマリアンが言ってた」
「この度得られる力は兎の糞7つ分の魔力。その力を使って得たい力はあるか?」
得たい力……か。考えてみたらなんの用意もしてなかったな。兎の糞7つ分……がどれ位か分からんが、ここは生存力強化でいこうか。
痛いの嫌だしな。
「回避力に極振りでヨロシコ」
俺がそう言うと、影の塊がぬるりと動いて身体の中に入ってきた。
冷たくもぬるくて温かい。
不思議な感覚だ。
「鳥に突かれたくない。生き延びたい。危機を乗り越えたい……か」
うわっ、心読まれてるわ。
でもまぁ確かに鳥に襲われた時に「生き延びたい」と思ったし、暴徒達の松明や槍でボコられた時は不甲斐ないと思ったなぁ……。危機を乗り越えられるだけの力があれば、マリアンの親父も殺せたはずなのに。
もっと力があれば……。
確かに俺は力を欲している。
前は、ダラダラとでも生きていれば御の字だったんだが……心境は変わるもんだな。
「ではその瞳に“危機を察知する力”を与えよう。闇に住まう者ナモナキに闇の加護を」
……!
闇の塊から闇色の光の粒が流れ込んできた。確かに兎の糞くらいの大きさで7粒。それが体内を巡るようにして一周し、ビカビカっと目に宿った。
これは……!
なんか目が良くなった気がする……!
◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
……気が付いたら闇の塊は消えていて、寝た時と同じ場所の岩場に挟まっていた。
視力は良くなっている感じはしないが……そもそも辺獄が暗いのでよく分からん。ともあれ、試さない訳にもいかんので、岩場から出て道の真ん中に棒立ちした。
「……やっぱり骸骨鳥はすぐ気付くなぁ」
影から出て数十秒。あっという間に鳥の群れに捕捉されてしまった。
ギャア……ギャアギャア……!
鳥同士が「誰が仕留めるか」とでも相談しているかのような鳴き声を出している。
その声が……止んだその一瞬。瞼の裏にある瞳がキュルリと横回転して背後へと向かう。
遅れて顔が振り返った時、背中を突き破る勢いで急降下してきた骸骨鳥と目が合う。……眼窩は空で目玉はハマってないけど。
そして、流れる様にして側転して近くの岩場に滑り込んだ。
ズザザーーッ!
……回避完了。
いけるやん!
「死角からの攻撃……を察知して目玉が勝手に反応した……という事か」
顔が振り向く前に瞳だけが先行して動いちゃうのは、そもそも俺の反応速度に追い付いていない証拠だな。回避能力だけが鍛えられるというのはこういう事か。
兎の糞7つ分で相当な進歩だ。今ならボクサーのジャブも目では追える気がする。
「便利だな、祝福……!」
他属性の祝福を受けた奴……人間狩りはつまり、レベリングに相当する行為なんだな。人間を殺すのはそんなに気は進まないが、チャンスがあれば積極的に殺していくか。
生き残るのに力は必要だし。
そうなれば、当面の目標は“強くなる事”で決まり!
俺はルンタカタッタと闇に向かってスキップした。その先にあるだろう力を求めて……!
すいまてん。間があきました。




