第53話 白華の光
ハルカがミリアの腕を掴む。
「なに!?あんた、飛べるの!?」
「ふふふ、私は日々進化してるんだよ!」
「ていうか…離してよ!行かなきゃいけないの!」
「私もついていく!!」
お願い、悪魔の私。
今だけ力を、貸して…!
「はああああああっ!!」
虹色の光が、自分たちを包み込んでいく。
その中でも一際大きな光の束を辿る。
行き着く先は、かつての繁栄していた世界…プレテキテラだった。
一緒にいたはずのミリアは傍にいない。
「こんにちは。やっと会えた、もう一人の私」
「私が、もう一人…!?」
「僕もいるよ」
「ふふっ」
仮面の男に白いミリア、ピアノを弾いていた少女まで現れた。
「えっ、な、何!?」
ハルカは困惑したが、ここでやるべき事は理解している。
「世界、救っちゃおうよ」
もう一人のハルカは言った。
「ほら、みんなも居るよ」
振り向くと、本当にみんなが居た。
共に戦った仲間たち、共に憎んだ強敵たち、故郷の優しい友人たち。
そして…
向こうには"異形"が立っていた。
自然と体が動く。
全員で円陣を組み、脳内に浮かんだその名を呼んだ。
「降臨せよ、リミティネイア」
…昔から信じられてきた、とある神の名前だった。
静かに現れた一つの丸い光は、全てを白に還し、新たなる世界を創り上げる。
そしてまた、歴史は始まった。