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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
51/54

第51話 希望

ハルカ達が転移魔法で神殿に足を踏み入れる。


そこで見たものは…


リリアンとリオネス、ラニス、リアリスがリーズンと出会った所。


(またリがいっぱい…ってそんな事言ってる場合じゃない!助けなきゃ!)


(そうね、ハルカ!)



「む…何故やつらがこんな所に…?」


ハルカとミリアが奇襲を仕掛ける前に、リーズンに気付かれた。


「アーリさん、あれが倒すべき敵、リーズン…!」


「あれが魔王リーズン…」



「会いたかったぞ、アーリ。お前こそがクローンの完成品…素晴らしい出来映えだ…!」


その口から発せられたのは、思いもよらない言葉だった。


「それは違う…私は…ずっと"アーリ"として生きてきた…」


クローンは、リリアンではなかったのか…?


「いいか、アーリ…という人物は、最初からいない。お前が勝手に名乗っていただけ。お前は…」


「……本当は全て、わかっていた。それなのに、あの者は…私が"アーリ"として生きる事を勧めた」


話を遮るように告げるアーリ。


「あの者……どいつだ?」


「名を聞いてもはぐらかすばかりで、何も教えてくれる事はない…だが、絶対に悪い者ではない。そう信じている」


ハルカはその存在を知らないが、静かに頷く。


「それも自らが勝手に思い込んでいるだけだ。ただの…幻想だ。ああ、この世界も幻想で出来ているのだったな」


リーズンは上を向いて深呼吸した後、ハルカ達に視線を向ける。


「この終わった世界で足掻く意味はない…どれだけ悪に染まっても、善を貫いても、全ては無に帰す…救いはない」


そう語る目は、どこか悲しげだった。



「全て、無駄になるとわかっていても…諦めきれません。まだ、意味なく足掻いていたい。だって今、生きているから」


レイアは右足を一歩前に、力強く踏み出す。


そして…


「希望を持っちゃ、駄目なんですか!」


リーズンに訴えかける。



…場にしばらくの沈黙が流れた。


それを破った言葉は…


「…希望?希望など、とっくの昔に潰えたわ!!あああああ!実に不快な響きだ!もういい、全て、全て滅びてしまえ!!全部、全部、全部ッ!!」


その叫びに応じるように、神殿が崩れ始める。


リーズンは悲鳴をあげながら膝から崩れ落ち、その背中から黒いモノが、とてつもない速さで沸き上がってきた。


「な、なにあれ…!?」


3mほどの高さに達すると、どんどんと形を取り始めてゆく。


大きな羽根に光り輝くヘイロー、まるで天使のようだ。


この世のものとは信じられない風貌に、ハルカ達は少しの恐怖を覚える。


恐怖は少しだけ。


もう、一体の敵に腰をぬかすような者ではない。



「こ、このでっかい黒いのがモンスター……!?」


「いや、これはモンスターなんかじゃない…」


「"異形"だ」


アーリはそう言った。



次回、最終決戦。

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