第46話 厄介な変人
「おはよう、ずーっと寝てたね。過去編でもやってたのかい?」
急に入ってきたノイズが消えたと思ったら、この声が聞こえた。
「どのくらい寝てたんだ…?」
「うーん、三日かな」
今の状況に既視感を覚えたが、うまく思い出せず。
「寝てる時に見ていた内容はしっかり記録させてもらったよ。忘れたって言っても、教えないけどね~」
どこまでもムカつくやつ…
それにしても、夢の中でも夢を見れるのか。
どんだけリアルな夢なんだ…
「キミが倒れた後、ラポリスの民を探しまわったけど誰もいなかった。だから作戦は失敗になる。でも大丈夫、代わりの案はあるよ」
「どうするんだ…?」
「うん、ここからは全部任せて。キミは、夢の中のハルカたちが紡ぐ物語でも見ておくといい」
そう言うと、この者の姿はゆっくりと消滅した。
「ハルカたちに…そこまでする理由はなんだ…?」
…
ハルカたちは転移魔法でクレメンの都、クレラニに到着。
買い物を満喫していた。
この世界の硬貨はどこも同じ物を使っているらしい。
「うわ!このパニジュース、酸っぱすぎ!」
パニは、この世界のパインに該当する果物。
…といっても、パインよりもはるかに安価で入手できるのだが。
「ね、それにしてもアーリさんすごいね!あんなこともできるなんて!」
楽しい会話をしていると…
「な、なんと、神前が行方不明に!?」
「え、神前って、ここの王さまのことだよね…」
騒ぎは続く。
「おい、あっちに怪しい男が走っていったぞ!」
この事件、ハルカたちは放っておけない。
「お嬢ちゃんたち…神前を探しにいくんだろう?」
「は、はい!」
何か知っていそうなおじいさんに話しかけられた。
「あくまで噂だが…山の中にあるダルカサという湖によく通っているらしい。だが、道は険しく、神前以外は誰もたどり着く事はできないのじゃ」
「ありがとうおじいさん!!」
「ま、まだ話は終わっちょらんぞ!?」
ハルカたちはそれだけの情報で、ダルカサを目指して走っていった。
険しい山道を登る。
しばらくすると…
黒いものが視界を横切った。
「え?人影?」
…と思ったら、戻ってきてハルカたちの前に立ちはだかった。
「ンここは通さァン!!」
「な、なにこの黒服おじさん!」
通さないと言われたら通りたくなる…
いや元から通るつもりだったから、おじさんには退いてもらう。
生身の人間を傷つけたくはないが…仕方ない。
多分ハルカたちはそう思っている。
各々、戦闘の準備を完了させた。
「ン行くぞぉぉお!」
次回、おじさんとおじさんのプライドを懸けた戦い!?