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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
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第44話 塔と塔主

「あなたは…第一塔主…」


数多の星を束ね、新たなる物語を紡ぐ存在…。


こんな話を聞いた事があります。


塔主は「塔」という自分の世界を持っていて、そこに住む者から信仰されることで力を得ると。


塔はいくつも所持できるそうですが、一つだけの方が安定して力を得ることができる。


塔主は固有の「宝物」も持っていて、それは武器となり道具となり、時には生き物となり…


そして塔主は神の器とも呼ばれ、運命に選ばれた者しかなれないそうです。



「エテルナ、貴方をずっと探していました。さあ、こちらへ」


「第一塔主」が手招きする。


「いいえ。いったい何を考えているのか分かりませんが、私は行きません」


「なぜです?貴方がたに危害を加えるつもりはありません。ただただ話がしたいだけなのです」


エテルナはそれを聞いても口を閉じたまま、一歩も動かないまま第一塔主を睨み付ける。


困った第一塔主は何か思い付き、エテルナにあるものを見せた。


それは紫色に光るキューブ。


「この中に眠っている者が見えますか?」


エテルナは恐る恐るキューブの中を覗きこみ…


「…っ!?」


地面に倒れるようにして座り込んだ。


エテルナは震えたまま言葉を失ってしまった。


声を掛けても、どこか遠くを見つめているだけで反応がない。


「…エテルナに何を見せた?」


私は目の前の出来事を見て落ち着かない様子で、第一塔主に聞いた。


「それは今後分かります。次に会う時は、エテルナも言う事を聞いてくれるでしょう…」


そう言って第一塔主は姿を消した。


第一塔主は何が目的でここに来たのだろう…


疑問だらけの頭の中で、唯一出来る事はエテルナを正気に戻すことだった。



「……すみません、心配をおかけして…」


第一塔主に何をされたのか、その者との関係性などを聞くが…


言いたくない、といった返事しか返ってこなかった。


「私は…天主として、秘書である君の事をよく知っておきたいんだ」


ゆっくりと時間をかけ、エテルナはようやく事を話し始めた。


「先ほど見せられたのは…キューブに封印されていたのは…私の兄なのです」



…昔、私は謎の人物の襲撃で家を、故郷を失いました。


兄もそこで行方不明になってしまい、私の心は黒く淀み…


各地を彷徨い歩き、疲れ果てて自分を失いそうになったある日、あなたが…天主様が手を差し伸べてくれました。


だから、天主様だけが今の私の心の拠り所なのです。


だから…天主様は私が守る…そう決めました。



…私は確信しています。故郷を滅ぼしたのは第一塔主だと。


だから…


「第一塔主の塔を破壊する。それが私の今の目標です。天主様…手伝っていただけるでしょうか…?」


「エテルナのためならば…協力しよう」



ありがとうございます、天主様…

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