第43話 ありえない!
三日間眠って気付いた事がある。
眠る前より少し、自分の魔力が強くなっているのだ。
なんとなくだが。
眠る事で魔力を高められるのだとしたら、ここで一生眠っていたい…
お布団がふかふかだから。
「まだ寝るつもりですか…?駄目です、お身体によくありません!」
心の声を聞かれているようでびっくりした。
多分エテルナにそんな力はない。
多分。
そうだといいな。
天主としてふさわしい振る舞いを心がけなければいけないのに、心の声を聞いてイメージが崩れると困るんだよ。
…エテルナに連れ出され、家の外に出た。
「見てください、私たちのお城がもう出来上がりそうです!」
いや、さすがに三日でお城が建つのはありえなさすぎる。
後ろを見たら城壁も完成してるし。
トルトグンの建築士は一体どうなってるんだ…
ひとまず住民を迎え入れる準備は整った。
後は…
「バルゼルブルグ、国民募集中でーす!」
「募集中でーす」
外の草原にてエテルナとヴェルーニカとチラシ配り。
…いやいや、これで人が来るわけないだろ。
「ふむ、国民募集中…か」
え、一人受け取ってくれた…
「では私が、バルゼルブルグの国民になってやろう」
いやいやいや、何言ってるんだこの人。
効果あったのか、チラシ配り。
「「ありがとうございます!!」」
女性の名前はルゥシイ、各地を旅する剣士らしい。
ルゥシイを新しい家に案内するため、完成した城門へ向かう。
「バルゼルブルグは滅亡したと聞いたが…再び立ち上がるとはな」
「ええ、これも天主様のおかげです…」
私は何もしていない気がするが、何も言わないでおこう。
バルゼルブルグの王としてのイメージを高めるために。
城門を抜け、城下町へ。
「あなたの家はこちらですよ」
エテルナの誘導で、ルゥシイが家に入る。
「…ほう、ほう…」
「家具はそれなりのものだな。景色…良い、居心地も良さそうだ」
気に入ってくれたようで、なぜか自分まで嬉しくなった。
この家はパワースポットなどに自生している、ミスラの木が使われているらしい。
だから実質パワースポットに住んでいる事になる。
これはとても良い物件だ。
新しい国民も満足したところで、少し散歩でもしようと外に出た。
「…あ、雨です」
さっきまで晴れていたのに、急に降りだして…
これは何かの予兆だろうか…
…それは流れ星が落ちるように降り立った。
光の衣を纏う、神々しい女性。
「…貴方が、エテルナですか」