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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
42/54

第42話 嵐の前の

城の前でも同じように、私を見て驚かれた。

そしてあっさりと城内に入る許可を貰い、中へ。


小さな国とはいえ、城の中は他の国に劣らない広さ。


最近の技術は便利なもので、城の中は転送装置で行き来できる。


…転送装置の管理人に、玉座の間へ行けないか聞いてみた。


「謁見をご希望ですか…あいにく、王は本日はお身体が優れないようで…」


「だそうですが、天主様、どうしましょう…」


今日はだめか…?


「……ああっ!そういえば王があなたにお話があるとおっしゃっていました!」


「私に話が…?」


ちょうどいい、もしかしたら同じ復興に関しての話かもしれない。


………


謁見の手続きを終え、玉座の間へ入った。


中は金の装飾があちらこちらで煌めいており、天井には何か絵が描いてある。


トルトグンの歴史が描かれたもののようだ。


「よくぞ参られた、ゴホン…さて…」


王は本当に体調が悪いようだ。


手短に済ませなければ。


「バルゼルブルグの王よ、ここには助けを求めに来たのだろう?」


私は頷く。


「現在バルゼルブルグは壊滅状態にあり、他国の助力を得なければ再興は不可能だと判断し、ここへ来た」


「うむ、元々バルゼルブルグには助けてもらっていたからのう。我々も精一杯の恩返しをせねば」


「…建築部隊を送ろう。そして三ヶ月、そちらに部隊の指揮権を与える」


「感謝する」


こうしてバルゼルブルグの復興は最初の一歩を踏み出した。


………


バルゼルブルグの城門跡。


「どこから直しましょうか…」


まず自分たちが住む場所がないため、簡単な家を造る事になった。


建築は部隊に任せておいて…


私は何をすればいいのだろう…



グルルゥ…


…!怪物の声がする…


「天主様、ここを守りましょう!」


急いで駆け出した先には、狼の形の怪物が何体も立っていた。


怪物は様子をうかがっている。


「一撃で仕留めます!スカイフォード!」


エテルナが手を突き出すと、空から氷の矢が飛来し、的確に怪物の心臓があるべき場所を貫いた。


「あんた、ちゃんと戦えるのねぇ~意外だわ」


「…少し黙りましょうか?」


目の前の狼は全滅したが…


これで終わり…なのか?


嫌な予感を抱えながら、残党がいないか周りを確認する。


…どうやら他に怪物はいないようだ。



………


城門跡に帰ってきた。


顔を上げて見ると、もう3軒ほど家が出来上がっている。


「おかえりなさい!とりあえず今いる人数分の家はできましたよ!」


さすがトルトグンの精鋭、建築スピードが尋常じゃない。


この家がハリボテではない事を祈って、私は扉を開き室内に入る。


ちゃんと家具まで一式置いてある、ここまで出来上がってるとは少し怖くなるな…


やっと家に帰ってきたと思うと、なんだか眠くなってきた…


少しだけ寝よう。


うーん…この布団…ふかふかだぁ…






長い間閉じていた目を開ける。


ふと見ると、隣にエテルナが座っていた。


「あら、お目覚めですか?」


私は一体どのくらい眠っていたのだろうか。


窓の外の空は眠りについた時と変わっていない。


…と言っても、この世界の空の色はいつも変わらず暗いが。


「きっと疲れていたのでしょう、ここで三日間も眠っていらしたのですから」


そうか、三日も寝ていたのか…


人にとっては三日は睡眠時間としてはありえないほど長いはずだが、私はおかしいと思わなかった。


そしてもうそれに慣れているような感覚がする。


「…大丈夫でしょうか?眠りすぎも体に悪いですし…」


身体にどこも異常はなく、むしろ眠る前よりも元気。


自分は本当は人じゃないかもしれない、と予想してしまうほどだった。


…そんなことはないか。

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