第41話 トルトグン
森に戻ると、そこには前通った道とは違う、分かれ道があった。
さっきの一本道はどこへ…?
私とエテルナは疑問を抱えながら、メモの通りに道を進んでいく。
………
迷わずに森の出口へたどり着いた。
目指す場所はもう目の前。
「あちらに見えるのは隣国トルトグンですね。小さな国ではありますが、個々の能力が特出しているのが魅力です」
物を浮かせる能力者や掃除のエキスパート、名のある建築士などなど…色々な才能を持った人々が住んでいるらしい。
「助けを求めるにはとても良い国だと思います!」
確かに、これほど適した国は他にないかもしれない。
…住民の話し声が聞こえる。
「…おい、隣の国が怪物の襲撃に遭ったらしいぞ。被害も相当なものなんだってよ」
「ここに関しては大丈夫ですよ、あの森を抜けられるものなんて滅多にいませんから」
エテルナを先頭に、門を通ろうとする。
「何者だ?」
「バルゼルブルグの者です。今回は私どもの国の復興のために力をお借りしたいと思い、ここまでやってきました。」
「生き残りがいたのか…ん…?」
門番は私の方を見て驚く。
「こ、これは、バルゼルブルグの王直々にいらっしゃったということか…」
少し考えたのち、敬礼をする。
「…どうぞお通りください」
無事に門を抜ける事ができた。
次はトルトグンの王に会いに行かねばならない。
賑わいのある城下町を三人で歩く。
「あ、あれって…」
「バルゼルブルグの王様!?」
しまった、住民の注目を浴びすぎている。
騒ぎにならないよう、どこか視線から逃れられる道はないだろうか…
辺りを見回す。
…家の裏に、隠れるにはちょうどいい細道を見つけた。
「ここから行こう…」
と言っても、細すぎて人が通るような道ではない…
使うのは猫か虫くらいだ。
しかしここを使うと決めたので、皆でぎゅうぎゅう詰めになりながら、無理やり通る。
「い、いたたたた…!ちょっと、押さないでください!」
「早くしないと見つかっちゃうでしょ!」
エテルナとヴェルーニカが入り口で押し合っている…
こうしている方が、子供たちのような細かい所を見る人からは視線が集まるかもしれないが。
これから王に会うという者がこんなことをしていて良いのだろうか…と思った。
いや、自分で決めた道なのだから、仕方がない。
行くしか、ない。
…細道をようやく抜けると、開けた場所に出て、城が見えた。
「いたた…やっと出れました…」
エテルナはさっきの押し合いでかすり傷を負ってしまう。
「ここがあの噂のトルトグン城ね…!」
「どんな噂を聞いたのですか?」
「いや、言いたかっただけよ…」
私たちは苦難…?を乗り越え、城の入口へ向かった。