第37話 旅のはじまりに
世界をやり直す、なんて言ってしまったが、私にそんな力はない。
私はエテルナがいなければ、ろくに戦うこともできない弱者。
強くなるために武術や剣術など努力してきたのは覚えている…だがその努力はあまり役立ってはいない。
…毒の侵食は止まったが、胸や心臓、そして心に深い傷痕を残すことになった。
私は少し休もうとエテルナに提案する。
「良いですね、ちょうど手作りのお弁当を持ってきたんです。どうぞお召し上がりください」
平らな瓦礫の上に座り、弁当箱を開けた。
中身は少し崩れていたが、丁寧な包装や具材のバランスから彼女の想いがこもっているのが伺える。
はじめに、野草とおからの和え物を口にした。
しゃきしゃきとした野草に、おからが混ざる事で新たな食感を生み出している。
次は唐揚げ。
じゅわっとした食感で、噛めば噛むほどに肉汁が滴り、ジューシー。
「うまく出来ているでしょうか…?」
私は頷く。
同時に、エテルナの料理はとても美味しいと伝えた。
「…!光栄です、天主様にそう言っていただけるなんて!」
二人の他愛ない会話は続き、日は傾き始めた。
時間が過ぎるのが早い。
これも彼女と一緒にいるからだろうか。
「さて…これからどうしましょう」
この街を元通りにさせるにはどうすればよいだろうか…
二人で全ての瓦礫を片付けるのはさすがに骨が折れる。
ならば、他国の助けを得なければ。
そうして、私とエテルナは自分の国を後にし、隣国を目指し始めた。