第3話 お泊まり
午後7時
モンスターがいなくなり、住民が戻ってきた後、二人は王国のとある家に来た。
「ここが私達の泊まる家かー」
「意外と綺麗だね」
この普通の家の住人が二人と一匹を一年間泊まらせてくれるそうだ。
「ありがたいなぁ」
コンコン
「あら、ハルカとミリアかしら。いらっしゃい。中へどうぞ」
入ると、木でできた雪だるまが出迎えてくれた。
「わあ、かわいい!」
ミリアが見惚れている。
「どこで買ったんですか?」
「これはね、昔お父さんが、私の誕生日に作ってくれたものなの」
二人は出来の良さに驚く。
「えっ!お父さんは職人かなんかですか!?」
「そんな大したものじゃないわ。独学よ」
二人はさらに驚く。
「すごいですっ!こんなものを独学で…」
「ちょっと話が弾んじゃったわね。上がってお茶でもどうぞ」
リビングに行くと、温かいお茶をくれた。
「わあ、なんか、すごい…」
「美味しいね」
お茶が身体の芯までしみわたる。
「知ってた?そのお茶はパルタ王国の特産品なのよ」
「そうなんですか!?」
「王国にはこんなに良い特産品があったのね…」
すると、机にご馳走が置かれた。
「これも全部パルタ王国産よ!」
「美味しそう~」
ハルカがすごい速さで刺身を食べていく。
「私とテくんの分も取っておいてよ」
「ふぁーい」
午後9時
「おやすみなさい」
「なんだか久しぶりの布団ね…おやすみなさい」
「オヤスミー」
今日はいろいろあったな。
モンスターと戦って、女王様に会って、ごちそうを貰って…
刺身、すっごい美味しかったな。
帰る時にまた食べさせて貰おうかな…
午前11時
「おはよう!」
「おはよう…遅いよ…」
ハルカ家の目覚めは遅い。
眠いと言いながら、朝ご飯を食べに向かう。
「美味しい!」
「本当にね」
「うちの食材は全部パルタ王国のものなのよ」
(パルタ王国ってそんなに凄かったんだ!)
「ごちそうさま!」
「じゃ、クセを直す訓練するよ」
「はい…」
ハルカはミリアにみっちり指導された。
ハルカはクセを直すことによって、新たな能力を手に入れた。
「ほら、見て!火傷しない火魔法!」
「結局火魔法を使うのか…」
魔王の城
魔王と四天王が話している。
「まだその時ではなかったが、もうすぐだ。もうすぐ来る」
「ほほーう」
(四天王・アンス)
“その時”とは何なのか。
「もうすぐ思いっきり暴れられるのね!」
(四天王・サラセニア)
「私は別に、どうでもいい」
(四天王・レイア)
無理矢理仲間にされているのか、レイアは辛そうな表情をしている。
「何でー?楽しいでしょ!」
(四天王・ラフィン)
ラフィンはぷんぷんしている。
「まあ、あまり追い詰めるのも良くない。許してやれ」
「暇ー」
「ならば、その時まで時を飛ばそう」
リーズンが指を鳴らすと、膨大な闇が城を包み込んだ。
目を開けると、満天の星空が見えた。
外だろうか。
魔王の城は無くなっていた。
「では、参ろう」
「いざ、パルタ王国~!」