第28話 立ち向かえる勇気
日の光差す草原で…
心地良い風が頬を撫でる。
正気を取り戻したハルカは、少し辺りを歩き回った。
「あれ、あそこにいるのって…」
人差し指の先には、テくんと女性がベンチに座っていた。
「テくん!?あれってテくんよね!」
真っ先に飛び出していく。
「ふふ、お友達が私たちを見つけたみたいね」
リアリスは立ち上がり、食べ終わった弁当を片付け始めた。
「テくん!」
皆が駆け寄る。
テくんが再び仲間に加わり、よかった…無事なのね!、もう…心配したんだから!、という会話がいつまでも続いた…
月が昇る。
王国は悪魔の襲撃により生活が困難となっていた。
一行は運よく壊れていなかった宿屋に泊まることになる。
「では、私はここまでとしよう」
「アーリさん、ここまでついてきてくれてありがとう!」
アーリを見送り、再びいつものような生活が始まった。
ここから先も、必ず困難は待ち受けているだろう。
だが、ハルカたちは絶対に魔王を倒してみせると誓った。
「みんな、これからも頑張ろう!」
おやすみなさい、勇気ある者たちよ。
いずれ世界が平和になるまで、その絆を絶やさないように。
「会話できるてちゃん…面白いわね」
「これでよしっ…と」
リアリスはとある用事を終え、月明かりの空を優雅に舞い、去っていった。
日が昇り、朝になると、人々は動きだす。
体操をする人、早くから仕事をしている人、店に食べ物をねだるテくん…
どれもパルタ王国の一部である。
女王が王国復興のため、力を尽くす。
そこからはるか遠い場所は、黒い影が包み、新たなる強敵が待ち受けていた。
体制を整え、再び冒険へと旅立つハルカたち。
「えーと、次の場所は…」
「世界には四つの大陸がある。ウィドウズ、クレメン、ドゥパリバヤ・サーレ、ヴァニアテ。ここはウィドウズ大陸、その隣がクレメン…」
急に物語のように語り始めるハルカ…
「今度はほかの大陸に行くぞ!」
「お、おー…」
誰も高いテンションについていけない。
いつもの調子を取り戻したハルカは無敵だ。
よーし、今日もがんばろー!
新たな地には、新たな敵がいる。
それに、まだ魔王も倒していない。
これからの道を行くには相当の覚悟が必要だ。
ハルカたちはグループに分かれ、二つの大陸に向かうことにした。
ハルカ・ミリア・ラフィン・レイア・テくんはクレメンへ。
リリアン・リオネス・レイルはドゥパリバヤ・サーレへ。
リリアンたちとはしばしのお別れだ。
「さよなら、頑張ってね!」
「うん!」
「また会おう」
挨拶を済ませると、ハルカたちは歩きだす。
未知なる大陸への旅…
わあっ、なんだかぞくぞくしてきた!
興奮が止まらないっ!