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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
27/54

第27話

パルタ王国にはとある歌がある。



そっと触れる指先で夢を描くなら


この名前も無い地で何をするのだろう



重ねる音と音ただ悲しいだけ


灰と化す世の闇を照らしてゆく正義




あたたかな光集め


二度とない平穏 感じる



まだ知らない場所へと連れていって私を世界の彼方まで




今こそ呼び覚ませ 全ての記憶を



なにかに囚われているだけじゃ



変われないと知ったの



消し去れ取り去れ 全ての悪を



届かない想いまだ 諦めたりしたくない




奈落に咲く希望の花踏み潰すような絶望に打ち勝つ



ここから始まる あなたとの物語




作者は不明、作られた目的も不明だが、古くから王国に伝わっている。




あなたに、この歌を、届ける…



白い少女は歌う。


はるかな旅路を祝福するように。




魔王城にて…



「リーズン様、お身体のほうは…」


「ああ、平気だ」


リリアンの放った光により、負傷していたリーズン。


「この程度の傷など、すぐに癒えたわ」


しかし、その傷はもう治っていた。


そして魔王たちは、次の攻撃の作戦を企てる…






「ウ、ウゥ…」


てちゃんのテくんが目覚めた場所は、春の陽気差す草原であった。


「ココハ…?」


そこには黄色い花が咲き乱れていた。


「ふふっ、起きた?」


隣に座っていた緑髪の女性が、話しかける。


おとぎ話を語るように、優しく。


「私はリアリス、あなたは?」


「テ…テクン」


「テくんっていうのね。面白い名前だわ、一文字なんて」


リアリスはくすくすと笑う。



「あなたはお友達とはぐれてしまったのね、風がそう言っているわ」


「ウン…」


風の声に耳を澄ませる。


~~~…~~…~~…


テくんは風の言葉を聞こうとしたが、耳を通り抜けていくだけ。(耳はどこだろう…)


「あら、お友達がこちらに向かっているそうよ」


女性は風の声が聞こえるようだ。


ベンチに座り、ラフィンたちを待つ。





「フロラワ~フロラワはどこラワ~」


テくんが待っている草原で…


スキップしながら、またまた変な歌を歌うラフィン。


「あちらの一帯に咲いているはずです」


女王が指をさす。


そこには黄色い花がたくさん咲いていた。


「わあ!いっぱいある!摘んでいこ~」


ラフィンが我先にと飛び出していく。




…十分な量は摘み終わった。


後はエキスを水に溶かし、ハルカに飲ませるだけだ。


アーリが慣れた手つきでその作業を終わらせる。


「うーん…?」


ちょうど目を覚ましたハルカ。


「ハルカ、これを飲んで」


ミリアがフロラワ水を飲ませる。



「…お、おいしい!」


良薬は口に苦しというが、これは意外に良い味がするようだ。


「ありがとう、ミリア…私を助けてくれたんだね」


目を合わせ、礼を言う。


ハルカとミリアの絆は今も絶えない。


物語はまだ始まったばかりなのだから。



重なる運命、交ざり合う宿命に星の観測者は興味を示す。


「これは面白い。さて、今度は何をしてくれるんだろう、楽しみだね」


「ハルカ」



「そうね、楽しみ」

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