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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
25/54

第25話 契約を、ここに

女性による研究の長い長い説明が終わった後…


アーリから研究者三人に一件のMINEメールが届く。


『一体のクローンが例の装置を起動させたようだ。そしてそちらにいる来客を今から静寂の古城へ向かわせてくれ。そのクローンの友達なんだ。君たちは待機していろ』


「とのことですので……ふむ…ではあなた方にこの地図を渡します。MINEの通り静寂の古城へと向かってください」


「はい、わかりました」


ラフィンは地図を受け取った。


「みなさん!また会う日までー!」


女性が手を振っている。


こちらも手を振り返す。




ラフィンとレイア、レイルとリオネス四人は研究所を後にし、地図を見ながら静寂の古城を目指している。


「さっきのMINE、友達ってことは…ハルカのことかな」


ラフィンがつぶやく。


「そうだといいですね…あ、モンスターです、気をつけてください!」


若葉の姿のモンスターが草むらから飛び出してきた。


レイアは刀を構え、意識を集中させる。


「秘技・楼月」


六つの刃が一斉に敵を切り裂く。


…モンスターは木っ端微塵になった。


「弱くてよかった、こっちも片付いたよ」


レイルもまた、自慢の炎魔法で同じモンスターを焼き尽くしていた。



地図に従って、誰もいない森を歩いてゆく。




昼下がり、静寂の古城にて…



「ハルカ、大丈夫かなぁ」


「大丈夫ですよ、今から助けますので」


リリアンと女王、アーリが城の中へ到着した。



「ハルカ~ハルカ~ハルハルカ~」


ラフィンたちも、謎の歌を歌いながら城にたどり着いた。


ここで全員が再会する。


「わっ!リリアン…と女王さま!?」


ラフィンは女王がいることにびっくり。


「お久しぶりですね」


女王がふふっと笑う。



「ねえ、わたし…本当にハルカの家族にひどいことしたのかな…」


リリアンは申し訳なさそうな顔で言った。


「いま女王さまとここにいるってことは、リリアンは何も悪い事してないんだよ!だから大丈夫!」


とラフィン。


「そう、あなたはなにも悪くないの」


リオネスはリリアンの元へ近寄り、抱きしめる。


「ありがとう、おねーちゃん…」


涙を浮かべるリリアン。




…この城の奥深くに、ハルカとミリアはいた。



「ああ…ミリアだけがいれば、私はもう何もいらないの…」


「ああ、それだけで私のココロは満たされるの…」


「……はあ…愛くるしいそのお顔…」


「さあ…ミリア…誓いを、共にしましょう?」


ハルカは、朦朧としているミリアの顔を自分に近づける。


「お…お願い…元に…戻って…」


ミリアが苦しみながらも言葉を発する。


(早く…誰か助けて…!)




「…ん?今ミリアの声がした…?」


「私も、助けてと聞こえました」


全員は脳内で、ミリアの声を聞いた。


ミリアはハルカのような、テレパシーは持っていないはずなのに。



「…って、さっきからリリアンの隣にいる白い髪の人、だれ!?」


ラフィンがアーリを指さす。


「あ、このひとは新しい仲間だよ!アーリ、っていうの!」


「そうなんだ!」


ラフィンは納得した。


「いつのまに私が仲間に…?」



「……君たちがMINEを見てきた、研究所の来客か」


そう尋ねられ、レイルは答える。


「はい、あなたがMINEの主だったんですね」


アーリが頷く。


「おそらくお友達はあの階段を登った先にいるだろう」


と言って奥の螺旋階段を指さす。


「私はここでモンスターの出入りを防いでおくから、君たちはあの上を目指すといい」


「うん、じゃあ、また会おうね!わたしのクローンさん!」


リリアンが手を振って階段へ向かう。


「……クローンは君だよ…」


ぼそっとつぶやくアーリ。



「クローン?」


…とラフィンが聞いてきたので、先ほどのアーリの説明と王国の言い伝えを女王が話す。




「な、なるほど…?」


一斉に情報が入ってきて、整理しきれない。


共有はできた…のか?


とりあえず、リリアンを追って螺旋階段へと向かおう。




途中何も起こらず、難なく階段を登りきった全員。


そこにはミリアを抱いたハルカが宙に浮かんでいた。


「あら、お邪魔虫が入ってきちゃった」


ハルカが一気に不機嫌な顔つきになる。


「じゃあ、ここで決着をつけましょうか~ミリアっ」


人差し指を立てて、ミリアの口に付ける。


「サルバトルマズルカベータ」

  【契約を、ここに】



その瞬間、ミリアはハルカのもとから離れ床に落ちた。


そして再び浮き、操り人形のように手足をぶらぶらさせる。




「…これでミリアは私の眷属…永遠に、私のものよ!」

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