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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
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第24話 メルセモアの研究員とクローン

「なるほど」


ひとまずお互いの事を知るために、全員は自己紹介を済ませる。


「本物」は名をアーリと名乗った。


「一国の女王に、神々の王。私はただの研究者…」


アーリは何かを考えるように、顎に手を当て周りをふらつく。




…闇の瘴気で眠っていたラフィンとレイア、レイルとリオネス全員が目覚めた場所は、花畑だった。


花畑の真ん中には、研究所のような物がそびえたっている。


「ここ…どこ?」


一番最初に起きたのはラフィンだった。


次にレイルが目を開く。


「うーん…どこだろう…」


辺り一面を見回してみたが、研究所以外には花しかない。


「この花…きれい」


「そうですね…」


続いてレイアとリオネスも目を覚ましたようだ。


花畑に見惚れている。


「うーん、まずはあの建物に行ってみない?」


ラフィンの提案で、全員は研究所を目指すことにした。




「なかなか遠いなぁ…」


「でも、もうすぐ着くよ、ほら」


レイルは建物の入り口を指差した。


入り口には何人かが立っている。


研究に関する話をしているようだ。


「……さん、進捗はどうです?」


「まずまずといったところか、まあ良い感じに進んでいるな」



「…を使って…にクローンを作成する実験ですよね、ところで…さん、私の研究も見てくださいよ!」


女性は水の入った鉢の中を指す。


透明な身体の、ミミズのような生き物がうねうねと動いている。


「見てくださいこの動き!足もないのに一生懸命に歩こうとするこの姿!必見ですよ!今しか見れません!」


「それは凄いが…一旦落ち着きなさい…」


「あっ…はい」


あとの男性二人は、女性が我に返ったのを見てほっとした。



「こんにちは~」


研究所に到着したラフィンたちは三人に挨拶する。


「おや、こんな所に来客とは…」


「ようやく我々の名が異国に知れ渡ったのですね!これはビッグニュースですよ!ねえ!」


「また君ははしゃいで…落ち着きなさい…」



女性が落ち着いたところで、男性は話し始める。


「コホン…ここはメルセモア研究所です。危険物を取り扱っているので、普段は関係者以外誰も入れないようにしているのですが…」


「今日はあなた方が何らかの理由でこちらに来る事ができてしまったようですね」


男性はメモ帳を取り出し、何かを探し始めた。


「お詫びします!」


突然女性が、持っていた鉢を差し出した。


「これが私の最高傑作!全ての始まり!それをあなた方に!」


「え、ええ?」


思わずラフィンは困惑の声を漏らす。


「こら、お客さんが困ってるじゃないか…」


もう一人の男性が女性を注意する。


女性は再び静かになった…


「失礼しました、これはワルワという生物で…」


しかし、落ち着いたかと思われた女性による長い長い説明が始まった…




同時刻、女王とリリアンはアーリの考えを聞いていた。


「今、何者かが研究所に転移させられたと聞いた。これを引き起こした物と、私たちが感じた既視感はなんらかの関係があると思っている」


「ふむふむ…」


リリアンはノートを持っていないが、メモをとる仕草をする。


「私は世界樹と繋がりがあるから、情報収集は得意なんだ。そこは任せてくれ」


(それはいいけど…)


ここでリリアンには聞き慣れない言葉が出てきた。


「世界樹?」


「私は言い伝えで聞いたことがあります…」


女王は王国の言い伝えについて話し始める…


「世界樹とははるか昔、遠い遠い世界の都…ラポリスの中心にあった、大きな木。それは都全体を管理・維持しているとても重要なものだったそうです」


(ほ、ほえー。そんなものがあったのか、わたしも王なのに、知らなかった…)


「ラポリスは、私たちのご先祖様が住んでいた巨大な都市だとのことです」


「そうなんだ…」


リリアンはラポリスについてもなぜか何も知らされていない。


「繋がっているということは、それが今も存在し続けているのでしょうか…?」


驚いたような顔でアーリに質問をする。


「そう、言い伝えのものだからといって無くなったわけではない。今も世界樹やラポリスは存在しているんだ」


「ええっ」


衝撃の事実に女王は思わず驚きの声を出してしまう。


「それでは、今はどなたが住まわれているのですか…?私たちの遠い親戚でしょうか…」


少々食い気味に問いかける。


返ってきた返事は…


「ふむ…もしかすると、この世界にはもう「本物」は存在しないのかもしれない」


「ということは…私もリリアンと同じようにどなたかの偽物と?」


アーリは頷く。


「そうだ。さっき感じた既視感はそういうことかもな、君が私の知り合いのクローンだということ」


「それなら、先ほど私の研究所で転移が起きた事は、クローンの誰かが研究者を呼んだ、そして私の元へも実際にクローンが来た、というようになる…」


(うーん、なんだか難しくてわかんないや…)


そしてリリアンは考えるのをやめた…


「クローンにはいざという時に備えて研究員呼び出し機能のようなものを用意してある。それがどこかで作動し、君たちもそれにつられてここに呼び寄せられたんだ」


「なるほど…これで繋がりましたね」


本当に全て理解できたのだろうか…


そうなら女王はとんでもない理解力の持ち主だと思われる。



「…君たちは人助けに来たんだったね。それなら私たちを呼び出したのはその者だろう」


ようやく全てのピースは繋がった。


女王とリリアンは助けを呼んでいるハルカを助けるため、アーリについていき寂れた古城へと向かう。

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