第23話 悪魔の末裔
闇の力で悪魔の姿となったハルカは、退屈そうにミリアを見下ろす。
「ずっと一緒だったけど、こんなハルカ見た事無い…初めてよ…」
…でも大丈夫。まだ救えるはず。
だって、ハルカは私の大切な親友だもの…
「ミリア…」
ラフィンが心配の声を漏らす。
「…友達でも、戦うしかない…」
ミリアは覚悟を決める。
全員はハルカと戦う事になった。
「あら~遊ぶ気になった~?じゃあ、これはどう?」
普段のハルカの何倍もの強さの炎が、草原を焼く。
「せっかくトモダチなんだから、たっぷり楽しませてよ~」
「無詠唱魔法…!」
驚きで、ミリアの手が止まる。
「ミリア、油断しないで!」
「あ…ありがとう、ラフィン」
「…うーん、何か気に入らないなー。えいっ!」
闇の翼が大きく広がり、ミリアを包むように取り込む。
「待って、ハルカ!ミリア!」
そしてハルカは消えてしまった。
「あ、ハルカっ…」
「………」
驚きの連続。
残されたラフィンとレイア、レイルとリオネスは、仲間が減っていく絶望を味わった。
「私…どうしたらいいの」
ラフィンが涙声で空に問いかける。
もう、このまま闇に呑まれた方がいいのではないかと思い始めた。
そして闇の瘴気が強くなり、全員は深い眠りに落ちていく。
その頃王国では、ハルカが町を破壊しながら城の中へ行き、女王と戦っていた。
「これだけは使いたくありませんでしたが…」
ハルカに光の鎖が巻き付く。
女王が動きを封じた。
拘束されたハルカを連れて、女王はリリアンの前に立つ。
「信頼していた方なので、あなたをよく考えずに閉じ込めてしまいました。今解放します」
解放されたリリアンは、ハルカの姿に驚く。
「ハルカ…どうしたの?」
女王がリリアンに今の状況と、秘密の作戦を伝える。
「まずは草原に向かいましょう」
…草原は、ハルカに力を吸い取られ白黒の世界になっていた。
そこには、リリアンと少し姿の似た者が立っている。
その者はゆっくりと振り返り、こう言う。
「…君が、私のクローンか」
「え…?」
二人は驚いた。
聞くと、この世界には「本物」を模して造られた人や神が存在しているらしい。
リリアンもその一人だという。
「今のところ、話せるのはここまでだ」
その後、「本物」のリリアンは考え込むような仕草を見せる。
「わたしって作りものだったの…?」
「私もその事については、よく知りません…」
二人も先ほどの会話の内容を整理する。
「…ですが、あの方は少し、見たことがある気がします…」
女王がそう口にすると、「本物」は再びこちらを見て言った。
「私も見たことがあるな…」
二人はお互い、見たことがあると言う。
果たして知り合いなのだろうか?