第2話 襲来
(私ならきっと助けられる!)
「助けに行かなきゃ!」
ハルカが走りだす。
「ちょっと!もう、ハルカ!」
ミリアがハルカを追いかける。
テくんはハルカの鞄の中。
(私が…もっと早く来ていれば…)
ハルカはゆっくりのんびり歩いていた事を後悔した。
ハルカが燃えるパルタ王国に着いた。
(モンスターがうじゃうじゃしてる…)
そこはもうモンスターの国になっていた。
(でも、私の魔法に敵うものは無い!)
ハルカが呪文を唱える。
すると、モンスターがハルカに飛びかかった。
「ハルカ、危ない!ミンスルタカテクキテイア!」
ミリアが5人くらい入りそうな大きな透明の盾でハルカを守った。
(一人じゃダメだったか…!)
「ミリア!魔法使えたの!?ありがとう!」
ミリアはお礼を言われて恥ずかしくなり、黙りこんでしまった。
(これでとどめを…!)
「サンバードブレンズ!」
雷のような炎がモンスターを焼き尽くす。
「また火魔法使っちゃった!」
ハルカはまた火傷を負った。
「これが落ち着いたら火魔法使うクセを直す特訓をしましょう」
「うん…あっ!ミリア、後ろ!」
モンスターが火を吐く準備をしている。
「言われなくても分かってるっての」
「ハデルサルクフラエテア!」
ミリアが無敵のシールドを張った。
「ボクモ戦ウヨ!」
テくんが小さな剣でモンスターを切り刻んだ。
(モンスター肉ってどんな味するのかな…)
「これを料理するなんて思ってないでしょうね…?」
ミリアは少し引いた。
「えっ!?」
「そのテレパシー使うクセも直すからね!」
「は、はいぃ…」
モンスターを倒し、燃える王国の城へ向かう。
「くそっ、こんな所にもモンスターが!」
「任せて!プラテナリクテンダ!」
閃光がモンスターを断ち切った。
「急がないと、女王様が!」
「そうだった!急ごう!」
入ると、女王にモンスターが飛びかかろうとしていた。
「あっ!女王様、逃げて下さい!」
「ハデルサルクフラエテア!こちらへ!」
二人が守りながら出口へ誘導する。
「いいえ、私は逃げません」
だが、女王は逃げなかった。
「どうしてですか!」
「私、この国を置いて逃げるなんて事は出来ません!」
女王の顔は必死だった。
「でもっ!」
「仕方ない…ハルカ、モンスターを片付けるよ!」
二人が力を合わせてモンスターを倒していく。
「強いのが居なくて良かった…」
「いや、ミリア、見て!」
前を見ると、奥に魔王らしきものがいた。
「終わった…」
「そんな…」
あまりの恐怖に二人は絶望する。
「お馴染み、魔王のリーズンだ」
「貴方は何をしに来たのですか!こんな事をして何が楽しいのですか!」
女王が魔王に問う。
「そんなの面白いからに決まってるじゃないか、女王サマ」
魔王が不気味な笑みを浮かべる。
「もうそんな事はさせません!貴方はここで終わりです!」
女王の額には汗が流れていた。
「そんなこと言うなよ、まだお楽しみはこれからだぞ」
魔王は残念そうな顔をする。
「そうだ、女王サマは不老不死だったろう。我らの仲間にならないか?」
「いいえ、貴方たちの仲間には、絶対に、なりません!」
女王は恐怖で息切れしていた。
「ならば、ここで死ね!」
魔王が女王に剣を振り降ろす。
「女王様、危ない!」
「はあっ!」
その瞬間、女王が剣を魔法で弾いた。
「す、すごい…!」
ハルカは、恐怖で固まっている自分が情けないと感じた。
(私も、戦わなきゃ…!)
「そうね、戦わなきゃ!」
「貴方たちはそこで待っていて」
二人も一緒に戦おうとしたが、女王に止められた。
「…!どうしてですか!」
女王は返事をしなかった。
「まだまだ!」
女王が魔王に魔法を連続で放つ。
「ふん…まだだったか。その時が来るまで待とう」
魔王は消えた。
「まだって何ですか!待ちなさい!」
「なんだったんだ…?」
「女王様、これからどうしましょう…」
「大丈夫です。ワタスタルラルクセントアベン!」
王国が元に戻っていく。
「すごい!女王様には驚かされてばかりです」
「もう暗いので、帰りなさい」
女王は優しい顔をしていた。
「分かりました」
「魔王、怖かった…」
「まだってなんだったんだろう…」
“まだ”の意味を考えながら、宿泊先へ歩いていく。