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てちゃんのしろ  作者: おはぎ
17/54

第17話 眠り象

「今は…午前5時か…」


ハルカが眠そうに目をこすりながら、時計で時刻を確認する。



「…!モンスターの気配が…!」


ハルカはモンスターの気配を感じ、飛び起きて部屋の外に出た。



辺りを見回す。


「あれ、何もいない…」


どうやら勘違いだったようだ。


「確かに足音したんだけどなー…」


本当にいないのか気になるが、まだ眠かったので、ハルカはあくびをしながら寝た。




「おはようございまーす!」


ラフィンの元気な挨拶で、眠っていた全員が目を覚ます。


「おあよー…」


挨拶を返したハルカは、すぐにまた寝てしまった。


つられてミリアも眠りだす。


コンコン…


扉をたたく音が聞こえた。


「はーい!」


ラフィンが扉を開ける。


扉の前には、レイルが荷物を持って立っていた。


「おはようございます…」


レイルは眠そうな声で挨拶をする。


「なんだか今日はみんな眠たそうだなー…」


いつもはこのように全員が眠くなる事は無い。



グガゴァァ…


外からいびきのような声がしている。


「誰か外で寝てるのかな?」


「行ってみよう」


ラフィンとレイルが外に出て声のする方へ向かう。



グガゴァァ…


声が近づいてきた。


「うーん…眠たい…」


「私も…」


何故か声が近づくほど眠くなってくる。


眠い…眠い…と呪文のようにつぶやきながら歩いていくと、道端に大きな象のような姿をしたモンスターが眠っていた。


「モンスター…!ううっ…眠気が…」


二人は眠気がひどくなってきた。


「寝てしまう前に倒そう」


レイルがそう言って、手をモンスターの前にかざす。


「バルデニテンステンス!」


空まで燃え上がる炎が、象を骨まで焼き尽くした。


「すごい…同じ呪文なのにハルカと全然違う!ハルカに申し訳ないけど!」


ラフィンは何故かくねくね踊っている。


「実は私、この呪文しか使えないんです…覚えたてだし…」


レイルが顔を赤くし、もじもじしながら言うが、ラフィンはずっと笑顔だった。


「でもすっごくかっこよかったよ!あ、何か洞窟がある!」


ラフィンは洞窟の中に走って行ってしまった。


「まるで子供みたい…」


レイルも追いかけて洞窟の中に入っていく。




洞窟の入り口のすぐそばから、宝石のような光が見えている。


「わあ!キラキラしてる!」


光っていたのは、神を封印しているクリスタルだった。


「あれ?これどうやって封印解くのかな…」


「えっと…私も分からない」


少し考えて、一つの方法を見つけた。


「ずっと話し掛けてたら起きるんじゃないかな?」


「起きるか分からないけど、試してみるね」


レイルが自分の身長の三倍ほどの、大きなクリスタルに話し掛けてみる。


「誰か知らないけど起きて、いっぱいご馳走用意したから…」



反応は無かった。


「えー、だめなの~?」

「何か変な言葉を言ってみよう」


もう一度クリスタルに近づく。


「アルラエスタスィリシエエフェメゾ」



反応が無い。


「だめかー」


諦めようとした時、クリスタルに亀裂が入った。


「え…呪文当たっちゃった?」


クリスタルが割れて中から、地に付くほど長い桃色の髪を持った者が現れた。


「リリアン!?」


「レイル~、このひと知ってるの?」


「うん…」


レイルは久しぶりに会ったため、泣きそうになっている。


「あ、レイル…と、ラフィン…?」


「えっ、何で名前を知ってるの…」


ラフィンは少し怖くなった。


「わたしの目はいろいろみえるの」


「こわい…」


ラフィンはレイルの後ろに隠れてしまった。


「リリアンは優しいから大丈夫だよ」


レイルがラフィンに言う。


「本当…?」


ラフィンが警戒しながら出てきた。


「帰ろっか」


ラフィンはリリアンから逃げられると思っていた。


だが、リリアンは最初から仲間だったかのように付いてきて、ラフィンは絶望する。


もう終わりだと思った。


「あっ!ラフィン!探してたんだよー!」


ハルカが全力で走ってくる。


「あれ?ラフィン、どうしたの?あっ、新しいひと!初めまして!」


「わたし、リリアンっていうの!よろしくね!」


挨拶して、家に帰る。


「おかえり」


ミリアがお菓子を用意してくれた。


「ミリア、レイア、新しいひと連れてきたよ!」


「リリアンだよ!よろしくねー!」


ミリアがこれは面倒くさそうと思い、頭を下げてトイレに逃げようとする。


だが、ハルカに止められた。


「ここは人が多いから隣の部屋に行こう」


リリアンは嫌がりながら、レイルに引っ張られていく。


ミリアは、ほっと胸を撫で下ろした。

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