♢ 第二章 雷雲2 ♢
どこまでも真っ暗な空間。
石の壁に手を付けながら前へと進む。
中は意外と広い。
時折でてくる蜘蛛の巣や蝙蝠をよけつつ前に進むあたしたち。
どこか、外とつながっているのだろうか、外の雨の音が聞こえてくる。
そのうち、広い空間へと出た。
「これはイス?」
松明で照らすとそこにはたくさんの長椅子。
半分くらい朽ちているものもあるけど。
半分くらいは使えそう。
「試しに座ってみる?」
と、勧めてくるマリア。
「よっと。」と腰を下ろすあたし。
うん、ギシギシするけどなかなかいい感じ。
「私も座ろっかな。ずっと立ちっぱだったし。」
「でも、なんか、ギシギシするよ?」
「二人はやめといたほうがいいかも。」
次の瞬間、バキッという音。
ドスンと思いっきり尻餅をつくあたし。
「いててててっ。」
お尻をさすりながら立ち上がる。
「大丈夫?」
と言って手を貸してくれるマリア。
見れば、イスの足がぽっきり折れていた。
「ちょっと、腐ってたっぽいね。」
ちょうど、その時、真上から差し込んでくる光。
あれは月だろうか?
よくみると、天井にいくつか穴。
いつの間にか雨はやんでいたみたい。
空に浮かぶ三日月はいつもよりずっと遠い。
「どうしたの。アリア、月なんて見上げちゃって。」
「ずいぶん遠くに来ちゃったんだなって。」
「私も、ちょっと思っちゃった。」
届かない月に手を伸ばすマリア。
「そういえば、月ってだれか住んでるのかな。」
「さぁ、ウサギさんとかじゃない?」
「案外、私たちみたいに住んでたりしてね。」
「そうだといいね。」
☆☆☆
雲が通り過ぎ、月明りでだんだんと、明るくなってくる暗闇。
穴からところどころに光が落ちてきて、奥まで見える。
手前にはたくさんのイスがあって…。
真ん中には赤いカーペット。
一番奥には…。
「なにあれ?」
とっても大きな何かがあった。