96話
私にできること。
ふと、サージスさんの言葉を思い出す。『ご飯を食べられなくて力が出なくて、モンスターに倒されてしまう』
「そうだ!ご飯を作ることなら私にできる!お腹が空いて力がでないなら、ご飯を作ろう。いっぱいいっぱい作ろう。きっと、他の冒険者さんたちだって、お腹が空いてしまえば力が出ないはずだよね」
たくさんご飯を作ろうと思っても、材料を買うお金どうしよう。
やっぱり、森の中の無料の食材が頼りだ。いや、流石にそれだけではお腹が膨れないかもしれない。
たくさんお店が並ぶ場所に来たものの戸惑ってぼんやり店を眺めているとぼんっと誰かにぶつかった。
「おっとすまん、荷物で足元が見えなかった」
倒れはしなかったものの後ろに2,3歩よろける。
足元が見えない?
見上げると、大きな荷物を抱えた大きな男の姿があった。
【相撲取り体型】
ん?この言葉前も見た。
「大丈夫か?」
荷物の間から、男が顔を出す。
「あ、ガルモさん」
「おう、坊主か!買い取りのこと教えてくれてありがとうな!おかげで思ってたより高く売れたし荷物はすっきりしたし、助かったよ」
「荷物が、すっきり?」
いや、ずいぶんたくさん荷物持ってるけど……。足元も見えなくなるくらい両手で抱えて……。
「あ?ああ、これか。さすがに調子に乗りすぎて買い過ぎたかな。思ったより高く売れたからな。前から欲しかった大鍋も買えたんだ」
大鍋?
よく見れば、荷物の一番下は金属の底が見える。これは鍋なのか。湯あみをするタライよりも大きな鍋だ。
「そうだ、坊主にも何かお礼をするぞ。何か欲しいものはないか?」
ガルモさんの横を、冒険者が数人走り抜けていく。
「ん?なんだなんだ?慌ただしいな」
冒険者たちが走り去った方向に顔を向けたガルモさんが山から立ち上る煙を目にした。
「なんだ、ありゃ。何かあったみたいだな。わりぃ、坊主。お礼はまた今度な、ちょっとギルドに事情をききに……」
ガルモさんの服の裾をぐっと引っ張る。
「お礼なら」
たかが、お店で買い取ってくれると教えてあげただけでお礼をもらおうなんて来れっぽっちも思っていない。思っていなかった。
だけど……。お礼をしてくれるっていうなら、今、してほしいことがある。
「その鍋を少し貸してください」
大きな鍋があれば、たくさん料理が作れる。私の頭にかぶっている雪平鍋で作ったものなんて、あっという間になくなってしまう。
「はぁ?鍋を貸す?いや、いいけど、どうするんだ?」
あ、昨日、更新忘れた。おはようございます。
これ、昨日分ということで、後ほどもう1話更新するぅ。
鍋を借ります。でっかい鍋。
さすがに、雪平鍋は小さすぎるかと……。
ね?ガルモさんと再開したよね。
相撲取り体型+鍋……うっ、何かが見えます……何かが……
ジャパニーズアイ持ちの見なさん、何かが見えてるでしょう?