94話
本日2話目
雪平鍋の中にあるキビを砂糖と混ぜて練ったもちもちのものを、こねこねと丸めて団子にする。さっき食べようとしたものの倍ぐらいの大きさにする。
【かろうじて団子:もっと大きくなれば肉まんサイズ】
なんか文字が出た。肉まん?
「あの、どうぞ」
また手を加えられると怖いので、ぽいっと投げた。すると、上手に大きな口でフェンリルがキビで作った団子……キビ団子をキャッチする。
『ぐるる』
【魂に刻まれた懐かしい味だ】
懐かしい?
えーっと、前にも食べたことがあるのかな?魂に刻まれたって……どういうこと?
分からないことだらけなんだけど、尋ねるのも怖くて、おとなしく残りのものも団子にしてフェンリルに投げる。
「こっちだ!」
「うわ、こりゃ我らだけでは無理だ」
「増援を呼べ」
「山に入った者たちを呼び戻せ」
最後の団子を投げたところで、遠くから人たちのざわめきが聞こえてきた。
どうやらフェンリルが王都に現れたことを聞きつけた兵たちがやってきたようだ。
「だれか襲われてるぞ!」
「大丈夫か、逃げろっ!」
『ぐわぁーっ』
【あー、うるさい!】
フェンリルが前足をあげて私の頭の上に乗せた。
「踏みつぶされるぞ!」
『ぐるるる』
【うまかった。またくれ。必要な時は我を呼べ】
は?
フェンリルは、ポンッとまるでサージスさんが私の頭をなでるように頭を撫でただけで、そのまま地を蹴って、王都を囲む高い塀を飛び越えた。
「大丈夫か坊主!」
「怪我はないか?」
心配そうな声に囲まれる。
「あ、はい……大丈夫……です」
いつの間にか抜けていた腰は動けるようになっていた。
「怖かった……」
けど、ジャパニーズアイがフェンリルの言葉をちゃんと翻訳してくれていたとするなら、キビで作った団子の匂いにつられてやってきて、食べて美味しかったと満足して帰って行っただけ……ってことになるけど……。
はっ!
もしそれが本当なら、キビ団子なんて作った私が、王都にフェンリルを呼び寄せてしまったことになる。
私がキビ団子を作らなければ、こんな騒ぎになっていなかったってこと……だよね。
どうしよう……。
あまりのことに体が震える。
「ああ、怖かったんだろう。大変な目にあったね、無事でよかった」
心配そうに私の腕をつかんで立たせてくれた兵の顔を見ることができない。
申し訳なさ過ぎて。どうしよう。どうしよう。
知られたらどうなっちゃうの。
黙っていてもいいの。
でも本当はどういう理由で現れたのか分からないし。私のせいじゃないかもしれないし。でも、私のせいだったら……。
言えない……。キビ団子を食べてうまいと言って帰って行ったなんて……。
でも、また食べさせてほしいとか言ってた……ううう。どうしよう。どうしよう。
ども。いつもご覧いただきありがとうございます。
うひょー。どうやら、前の話で「まるけ」っていう方言を出してしまったようで。
(´・ω・`)意味が分からない人のために解説しておくと
「だらけ」と「まみれ」の間くらいで、「まみれ」に近い意味かな。
泥まるけ 泥だらけ、泥まみれ
埃まるけ 埃だらけ、埃まみれ
雨の日だらけとかは、雨の日まるけとか使わないので、だらけとも違うんですよね
さて、肉まんのところに実は饅頭って入れておいたんですよ。
でも、饅頭って団子のように小さいのもあるし、そもそも饅頭ってなんぞ?と調べたら、
基本的には蒸したやつらしい。
そうなの?なんか、和菓子で、丸っこい感じの全部饅頭って読んでたわ。蒸してなくても。
難しいね、分類……ってなった。
でもって、どうでもいい情報を書いておくと、
私はこし餡派です。
饅頭はこし餡が好き。
……あ、こし餡……ハズレドロップ品でそのうち出て来るのか?つぶ餡の方がいいのか?
つぶ餡の場合は「小倉」とか表示するし、「パンにつけて食べる、小倉トースト絶品」とか出て来たり幅が広がるけど、こし餡が好き。