91話
「あー、もう、だから、禁止!もうっ!ドロップ品関係のこと考えないっ」
シャルがそう言い残してサージスさんと姿を消す。
え?ドロップ品のこと考えちゃ、駄目?なの?
なんで?
【ドロップ品オタク:マニアともいう】
あ、私の手に文字が。
オタク?マニア?どういう意味?
うーん。どうしよう。ドロップ品のこと考えちゃ駄目って、何をすればいいの?
鞄の中身の仕分け……も、ドロップ品だ。朝拾ったものを仕分けして売りに行っちゃだめかな。あ、ここ王都だ。売るなら親切な店員さんのいる店にしたい。そっか。ドロップ品を出して仕分けしても売りに行けないし、そもそも出して仕分けしてたら、私みたいな弱そうな人間がどうしてそんなに持ってるんだって思われたら、また横領とか疑われてめんどくさいことになるかもしれないよね。
シャルはそこまで考えてくれたのかな。
うーん。でも、楽しめって何をすればいいのかな?
ギルドの中をきょろきょろと見回す。
「は?買い取れない?しばらくは薬草で手いっぱいだと?」
カウンターに買い取り希望の物を鞄から出して並べた男の姿に目をやる。
金貨3枚くらいのすごい品っぽいものが目に入る。結構高いレベルの冒険者なのかな。
「ガルモさんはもしかしてダンジョンの中にいて話をまだ聞いていませんか?千年草がドロップしたんです。ですから、今どこのギルドも千年草を最優先に扱うため、他のものまで手が回らない状態です」
「はー、困ったな、売れないのか?こんなに持ち歩いたままじゃぁダンジョンに潜るにも潜れない……」
もじゃもじゃ髭面のクマみたいな大きなガルモさんが、頭を抱えて小さくなった。すごすごと鞄にドロップ品を戻すガルモさん。
【相撲取り体系】
ガルモさんに文字が現れる。
相撲取り?何それ?
「えーっと、武器屋や防具屋や魔道具屋で買い取ってもらえると思いますよ?」
そっと近づいて声をかける。
「あ、なるほど、そうか!ありがとうよ!坊主!」
ガルモさんが出て行ってからも、次々にドロップ品を手にギルドに人がやって来る。
うう、ついドロップ品に目が行っちゃう。だめ。ここにいたらドロップ品が気になりすぎる。
ギルドを出て街を見渡す。
……。王都すごい。
人がいっぱい。店もいっぱい。
えーっと、楽しめって……何を?
途方に暮れる。
んー。ドロップ品関係のことしちゃ駄目で、えーっと、楽しむ……?
街では見かけないような、きらびやかな服装に身を包んだ人が通り過ぎていくのが目に留まる。
カラフルなドレス。ところどころ光を受けてキラキラと輝いている。ふらふらと、思わず20歳くらいの綺麗なドレスを着た女性の方に向かって足が進む。
あと数歩で女性に手が届くというところで、私の進行を阻むように詰襟のお揃いの服を着た男が二人、私の前に立った。
(´◉◞౪◟◉)
やぁどうもどうも。
本当は、ここでガルもさんと色々なシーンがあったのですが、割愛。
本筋に戻る。
んがしかし、あっさりガルモさんと合流する……のは、まぁ、置いといて。後々お楽しみに。
そりゃさ、ジャパニーズアイで特別な単語見えちゃったもんなぁ……。
ご覧いただきありがとうございます。




