88話【末広がり】
本日も2話目!
とても多くの人が広い道を行きかっている。
たくさんの店が並び、賑わいを見せている。
「すごい、こんなにたくさんの……人も店も初めて見た」
シャルが私の右手をぎゅっと握りしめる。
また、どこかに飛ぶのかな?
「僕から離れるな。迷子になるだろ。行きたいとこあれば連れてく。何が見たい?」
え?何が見たいか?
どうしよう、目移りしちゃって何って言われても。
そうだ。
片目をつむる。
【スキルジャパニーズアイ発動】
目を開いてもう1回。重ね掛けしてから周りを見る。
あ、何か文字が浮かんでるの発見。
「あそこが見たい」
シャルの手を引っ張るようにして文字の場所へと向かう。
【キビ:団子にするともちもちしておいしい】
「何これ」
麦よりも小さな粒がたくさん入った樽がいくつかおかれている店だった。
シャルのつぶやきに店主がすぐに笑顔で答えた。
「これは鳥の餌だよ。お貴族様たちが、きれいな鳥を飼っているのを見たことがないかい?それに食べさせる餌」
「え?鳥の餌?」
でも、おいしいって書いてあったのに。
「買っていくかい?これをまいておけば鳥が集まるから、きれいな鳥を捕まえてお貴族様に売ろうっていう人間も買ってくよ。これくらいの量で銅貨2枚」
お店のおじさんが、両手の平で救って量を見せてくれた。
同じ量の小麦より少し高いけれど、お貴族様が買うものとしては安いよね。美味しいというのが気になる。
「おじさん、じゃぁ、えーっと……」
収納袋から、宝箱を3つ取り出す。中身の腕輪やら指輪やらを取り出して空にしてからおじさんに差し出す。
「この箱3つ分ください」
「おう、毎度あり。銅貨10枚といったところか」
キビを買うと、シャルが私の顔を不思議そうに見た。
「鳥が欲しいの?」
「あー、えーっと」
美味しいっていうから気になってと、言おうとして戸惑う。
だって、鳥の餌を僕に食べさせる気なの?って怒られそうだし。
買うところ見られてるんだから、何かってのは知られてるから……。一人でこっそり食べてみよう。
「あーっと、その、ほら、拠点、そう、拠点に小鳥がちゅんちゅんって来てくれたら、その、窓辺で小鳥に餌を上げたりしてみたいなぁって……」
確か、お姫様が窓にやってきた小鳥と話をして寂しさを紛らわせるみたいな物語があったような。
「ふぅーん。女子ってそういうの好きだよね」
シャルがふっととろけるような笑みを浮かべる。
「自由に空を飛ぶ鳥を見て、私も自由になりたいとか願うんじゃなかった?何?リオも閉じ込められたいの?僕が閉じ込めてあげようか?」
「え?あれ?そういう話だったっけ?」
寂しさを紛らわせるのは、一人だからで、一人の理由って、そういえば、塔に閉じ込められてたからだったような……?
【ヤンデレ】
シャルにまた文字が浮かぶ。だから、ヤンデレってどういう意味?きょとんと首をかしげると、シャルがふぅっと小さく息を吐き出す。
(´・ω・`)ごめん。なぜかタイトルの番号間違えるの頻発……。
わざとか!って思うくらい間違えまくっている。
色々と試されてる感じするわ……。
てなわけで、この話は間違えてないはず。ジャパニーズアイで確認したから大丈夫さ……きっと……。