82話
「あ、サージス様だ」
「シャル様もいる」
「リオ様もだ……かわいいなぁ、リオ様」
へ?
様?
「お前ら、今、何て言った?」
シャルが冒険者を睨み付ける。
うひゃー。やっぱり、様を付けて私を読ぶなんておかしなことするなって、シャルは怒ってるんだよね。
「リオを、見るな!」
シャルがびしぃっと冒険者に言い放つ。
え?あれ?
もしかして、黒目を見られるのを私が嫌がると思って、シャルは冒険者のみんなに言ってくれてるのかな?
「うはー、腹減ったぞぉ、そうだ、なんかモンスターの足、あれ、うまいんだろ?なぁ?な?早く食べようぜ!」
そういえば、朝食もまだでした。
「モンスターの足だと?」
「どういうことだ?」
「サージス様ご乱心か?」
うわわわ、うわわわっ。
聞かれた。やばい。
ジャパニーズアイでいくら美味って出たからって……。
モンスターの足を食べさせた元凶が私だと知られたら……S級冒険者のサージス様に何をする!と、あああ、やばい、あぶない。
「ご、ごはん、あ、あっちで、あっち、あの」
「おう、またあのオイシイノ作ってくれるのか?」
ニカッとサージスさんが笑った。
3人で連れ立って、河原へ移動する。
「あの、材料出して用意するんで、えーっと、薪を集めてきてもらってもいいでしょうか……」
二人にはこの場から離れてもらわないと。
「おう、薪だな。シャル、行くぞ!」
二人が薪を集めに離れたところで、ドロップ品の宝箱を開いていく。
あ、そうだ。いつの間にかスキルの効果が切れてる。いつから切れてたんだろう。3階層に上がったころ?しまった。他にも何かあったかもしれないのに。スキルなんて使う癖が無いから……まあいいか。
【スキルジャパニーズアイ発動】
宝箱を開いていく。
【合わせ味噌:調味料】
「あった!味噌だ!」
ゲットしたのは、3つの合わせ味噌と、5つの赤だし味噌だ。カレールーというのはなかった。もう少し上の階層じゃないと出てこないのかな?
それから、蜘蛛もどきのモンスターの足……
【タラバガニの足:美味】
……これ、どうやって食べるんだろう。固いし。
バリバリと?
いや、動物なら皮をむいて食べるんだよね?この固いのが皮……殻?
えーっと。どうやって食べればいいのかな?
……そうだ。一か八か。
【スキルジャパニーズアイ発動】【スキルジャパニーズアイ発動】
スキルの重ね掛けをしてみる。
これで、ちょっと能力上がってないかなぁ。3回重ねたんだよね。
【タラバガニの足:美味。100gあたりの栄養価84kcalタンパク質18g脂肪0.6g亜鉛とビタミンB12が豊富】
うひゃー。分からない単語のオンパレードgとかなんて読むの?タンパク質って何?脂肪?亜鉛?ビタミン?ええええ、何?
何?全然分からない。
ジャパニーズアイを重ね掛けして表示される情報は増えたけれど、でも、さっぱり役に立たないよ。分からないことが増えただけだよ。
いつもありがとうございます。
グルメラノベ……には、情報不足でできないという……あああ、もったいない。
蟹が、おいしい蟹料理が遠のく……