80和
ん?何?全然意味が分からない文字がシャルに浮かぶ。鳥?
「大丈夫だ。俺が、リオにもシャルにもモンスターを近づかせないからな」
ずいぶん先まで進んでいたサージスさんが戻ってきて私とシャルの頭を撫でた。
「はい、あの、サージスさんがいれば、僕もシャルも、生きていけますっ!」
「僕はもう、リオなしじゃ生きていけない」
ぼそっとシャルが何かをつぶやいた。え?今、何を言ったんだろう?
「それでは、改めて、よろしくお願いします。拾いますっ!」
ギンギンに目を輝かせた私に、サージスさんが息をのんだ。
「お、おう、えーっと、シャル、ドロップ品を拾うのって、あんなに気合入れるものだったか?」
何かまだ会話をしてるようだけど、もう、聞こえない。
モンスターに気を取られることなく、ドロップ品を好きなだけ拾える。
くふふ。
「いる、いる、いらない、いらない、いらない、いる、いる、宝箱はあと、いらない、いる、いる」
しかも、容量とかあんまり気にせず入れられる収納鞄まである。
「ふふふふ、ふふふふふふふ、ふふふ」
幸せかもっ!幸せすぎるっ!
「偽薬草の偽物」
ぽいっとしようとして、ふと手が止まる。
薬草の偽物が偽薬草。薬草に似てるけど違うものが、千年草だった。
偽薬草に似てるけど違うこれも、もしや、価値のあるものなのでは?
【大葉:別名青じそ、蘇葉。刺身に添えられるのは食毒を解する作用があるため】
えーっと。わけが分からない情報が、たくさん。
刺身って何?
身を刺す?え?怪我に効くの?蘇葉って、よみがえる葉っぱって……、えーっと、刺し傷が治るのかな?でも、食毒を解するって、どういうこと?
さっぱり意味が分からない。でも、とりあえず分からないけど、取っておこう。
よし。引き続き頑張る。
「いる、いらない、いらない、いらない、いる、いる。ふわっ!ちょっとだけレアややつ!シャル、これ、たぶん金貨3枚、持っていて!」
高いものはシャルに手渡す。
「は?なんで、高いものは僕が持つの?」
シャルが首をかしげる。
ん?
「あとで、僕が拾い集めたやつも仕分けするんでしょ?だったら、この場で分けるの意味ないじゃん」
あれ?
「千年草はシャルが持ってたから……」
「はぁ?あれは、混ざると大変だからでしょ?まさか、僕が高いものはリオを信用せずに自分で持ってたとか思ってる?」
「はい。高いものは、僕が持っていて、その、転んで鞄の中身をばらまいたり、悪い人に取られたりするといけないので、信用しちゃだめです。だから、えっと、信用しないのが正解です」
シャルが微妙な表情を浮かべる。
「そういう意味で信用ね……僕だって、リオのこと信用してるって言いたいけど……確かに、リオに貴重品持たせると……悪いやつらのターゲットにされそうだ。わかった」
シャルが金貨3枚するだろうちょびっとレアのペンダントを受け取る。
「で、これはなんで金貨3枚もするわけ?宝箱に入ってたわけでもないのに、レアってどういうこと?」
革紐に木彫りの銅貨くらいの大きさのペンダントがついている。
素人が掘ったような雑な花の絵。
ども。80話じゃなくて、80和。
あー、これに今気が付いたの。
1和、2和ってやればよかったー!!!!!!しくった!
かっこよくない?(よくない)