79話
荷運び人として、頑張ろう。――それが私の、役割だ。
頑張るべきことだ。
片目をつむる。
【スキルジャパニーズアイ発動:2重】
二重?
さっきの効果が切れないうちに、もう一度発動したから?重ね掛けができる魔法があるって聞いたことがあるけど、それと同じ?
ぱっとダンジョンの中を見る。
【年下溺愛系ヤンデレ】
【西洋風残念イケメン】
シャルとサージスさんの表示が少し変わっている。
と、今はそれよりも。集中!
ドロップ品に意識を集中。
ジャパニーズアイが表示されなければ、通常の処理。
「いる、いらない、いらない、いらない、いらない、いる……」
宝箱は後で開けるから、全部回収。
「いらない、いらない、いらない、いる、いる、いらない。あ、千年草」
2階層でも出るのか。
「うわー、リオのスイッチが入った……。サージスさんがモンスターを倒すレベルで、リオが拾ってる……。なんか、僕、必要ないんじゃない?って落ち込むんだけど」
何か、シャルがつぶやいている。何を言っているんだろうか。
集中を途切れさせないようにドロップ品に意識を向けているため、何を言っているのかは分からない。
「才能って、見せつけられると……嫌になるね。自分が凡庸だって思い知らされる。与えられたスキルしかない能無しだって……だけど、どうしようもなく惹かれる……」
「うしゃー、シャル、3階層行くぞ!リオは、3階層は大丈夫か?」
「えーっと……蜘蛛と蝙蝠のモンスターは駄目です」
サージスさんの問いかけに、素直に返事を返す。
もう、迷わない。駄目なものは駄目だ。
よわっちぃ自分は認める。どうせ私はよわっちぃからなんてうじうじしたりしない。
よわっちぃ自分を、それでも必要としてもらえるように、自分の”役割”はしっかり果たす。
「ああ、あんとき襲われてたもんな、シャル、リオのフォロー頼む」
ロードグリに置いて行かれた時のことを思い出しただろうサージスさんの言葉に、シャルが小さく頷いた。
「シャル、お願いします。あの……シャルがいてくれるから、僕は全力でドロップ品拾います」
シャルが複雑な顔をする。
「何?リオはいつもは全力じゃないってこと?まだ力を隠し持ってるってこと?」
え?あれ?私、何か言い方間違えた?
「いえ、あの、いつも全力のつもりですけど、その、そうじゃなくて……シャルは絶対、僕が危険な時は助けてくれるって信じてるので、だから、あの、それに僕が答えるには、えっと……モンスターに襲われるかもしれないと、他に気を回さず、全神経をドロップ品に向けるって意味で、えっと、」
「ふーん、僕を信じてるんだ」
「はい」
もちろん。
「僕が頼りなんだ」
「はい」
私はよわっちぃ。それは事実だ。
「僕がいないと死んじゃう?」
「はい」
きっと、吸血蝙蝠に再び襲われたら本当に死んじゃう。
ぷっとシャルが噴出した。
「馬鹿、リオ。心にもない返事するな」
「こ、心にもなくないです。僕にはシャルが必要で、シャルがいないと死んじゃいます。シャルなしでは」
シャルが私の頬っぺたをぶにぃーっと両手で引っ張る。
【愛及屋鳥】
ども。
ジャパニーズアイで、日本っぽい文字を出そうと思って、四字熟語とかなんかそういうの相応しいの無いかなーって、検索して調べてとかしてるんだけど、いまいち四字熟語って、その時その時の状況にふさわしい言葉って少ないんだなぁーと思いました。
(´・ω・`)なんか、特別な状態っていうか、こう日常でない場面用のは多いですよね。
悩んでる時とか……戦ってるときとか……。
さて。
リオが本気を出すと、サージスさん並み……(´・ω・`)
シャル、常識はお前の手に託された……(たぶん無理)
ご覧いただき阿ありがとうございます。嬉しいです。
嬉しいを四字熟語で表そうとして……
狂喜乱舞……いや、あの、だから、極端なんだって。もうちょっと、こう、日常の動作的に使いやすい喜びを表す四字熟語を求めているんですよ……汗
踊り狂うでなく、ガッツポーズっぽい四字熟語、ないですか?