77話
慌てて赤い横歩きの蜘蛛もどきモンスターから出た宝箱を手に取る。
別のドロップ品が出るなんて、初めてのことだよね?
サージスさんとシャルが覗き込んでいるのも気にせず蓋を開ける。
【蟹味噌:蟹の風味が濃厚】
風味?ってことは、これも食べられる?
「うえー、何だよ。ハズレかっ!」
シャルがぱたんと蓋を閉じると私の手から宝箱を取り上げぽいっと遠くに投げた。
「足以外をドロップしても糞しか出ないのか。でもまぁ、うまいっていう足が出るならいしし。早く食べてみたいなぁ」
糞……認定されました。
そりゃそうだよね。
そりゃ、見た目、なんかそうだし。
ジャパニーズアイでいくら別の物だと表示されても……。食べ物だとはさすがに思わないよねぇ。
ううう。これは、ますます、味噌とかカレールーとかを回収してるところと、使っているところは見られないように気を付けないといけない……。
糞を食べさせたのか!と……。
モンスターの足は食べようとしちゃうサージスさんですら、糞はぽいっとしちゃうんだから……。絶対、知られたら駄目だ。
それにしても、いくら2階層のモンスターは弱いと言っても、初級冒険者にとっては倒すのが大変なものも居るはずなんだけどな。
サージスさんにかかると、すべてがスライムレベルのモンスターのようにみえちゃう。私でも倒せるかもと、思っちゃうよね。
……鞄に入っている日本刀……。ちょっと取り出して、やっつけてみたいなぁなんて気持ちが芽生える。
と、またまた別のことを考えてぼんやりしてしまった。
ドロップしたものを選別せずにとにかく全部回収していることで集中力が散漫になっているらしい。
気がつけば、目の前にどつきウサギという体当たりしてくるウサギっぽいモンスターの姿があった。
しまった。どつきウサギは素早いからターゲットにされたと思った瞬間に体当たりする瞬間に避けないといけないのに。
失敗した。
体当たりされる覚悟をする。
別に死ぬようなことはない。ちょっとしりもちをついて、ぶつかったところが黒くなるくらいだ。
ドンッ。
衝撃を太ももに受ける。
「リオ!大丈夫?」
シャルが驚いたように声を上げた。
「うりゃーっ!」
サージスさんが私に体当たりしてきたどつきウサギめがけて石を投げつける。
石が命中したどつきウサギは倒されて紫色の光を出して消えた。
「あ……れ?」
ちょっと、待って。
いろいろなことで、混乱してる。
【江戸紫】
紫色の光に、ジャパニーズアイが文字を出す。
いや、光の前に、私……。
「ああ、リオ、どつきウサギの体当たりくらいじゃ平気みたいだね。悪かった、もっと弱いかと思ってたって、うわぁ、何これ」
私、今までどつきウサギに体当たりされて、立っていられたことはなかったはずなのに。
太ももに思い切り体当たりされたのに、立っていられる。それに、痛みも、そこまで感じてない……。
あれ?
今日もご覧いただきありがとうございます。
ふーふっふっふ。
何人かの予想通り、中身は蟹味噌でしたー。
でも、捨てた。
あ、ちなみに、これ、タラバガニの蟹味噌じゃないからね。
これまた誰かが言っていますが、タラバガニって蟹味噌はまずいんだって。食べないんだって。
それを知ったときに「しまった、蟹の種類変えないと!」と思ったんですけど、とりあえず食べないので、まぁいいやと。
大きな蟹の足にかぶりつくサージスさんを想像しちゃったからね。
なんか、ちっちゃい蟹の足の身をほじくりだして食べるサージスさんとか、絶対似合わないじゃん。
え?私だけかな、そう思ったの……。
てなわけで、一つのモンスターから出るのに、違う種類の蟹のアイテムが落っこちる……のも、ご都合主義ですが、そういうのもありということで。
そもそも、タラバガニじゃなくて、モンスターなんで。
気にしない、気にしない。
それに、食べないし。捨てたし。
ということで、よろしくお願いします。(言い訳に見えるけど、単なる説明だから!)
てなわけで、なんかひたすら勢いで書き進めているけど、ちゃんと厄災も徐々に迫ってきてるから!