75話
「僕は戦えないし、戦おうとも思わないし、より遠く、より多く飛べるように訓練するつもりはあっても、剣は振らない」
え?
「リオ、僕は言ったよね。頑張ってるアピールするだけで、成果を出せてない人間は嫌いだって」
えーっと。
「サージスさんに剣の訓練してもらおうとか考えないでよね!」
え?
「おーい、2階層に進んでもいいかぁ?」
ドロップ品を拾い集めながらサージスさんが戻ってきた。
シャルの言葉を反芻する。
「はいはい、もう、ドロップ品がこうたくさん落ちてちゃ飛ぶこともできない。しかし、こんなにあっても、なんか価値なさそうなもんばっかり」
ぶつぶつと文句を言いながらもシャルはドロップ品を拾って鞄に入れながら歩いていく。
シャルは、大事なことを言っていた。と、思う。
逃げる……からって。
そうだ。戦うだけがすごいことじゃない。
シャルの影やマーキングした人のところへの転移魔法って、すごい能力だ。
人にはそれぞれ、得意なことがある。人ができることが自分にできないからって、頑張ってできるようになろうとしてもどうしてもできないことはできない。
頑張って転移魔法が使えるようになります!なんて私は絶対に言わない。だけど、剣なら使えるようになるかもと思ってしまった。
たぶん、違う。私が頑張る方向は……剣とか「戦う」ことじゃない。
弱っちい弱っちいと言われる私が、ダンジョンに入るために必要な能力……って、何だろう?
戦うでも逃げるでもない。えーっと、守る?身を守る能力?
「あ!そうか!確かモンスターって出現しやすい場所、する条件みたいなものが分かっているものがいるって本に書いてあった」
だとすると、よく観察すれば、他のモンスターだって、ある程度法則みたいなものがあるのかもしれない。岩の影から出てくるモンスターなら、岩陰をよく観察する。出現しそうな岩陰には近づかないとか、そういうことを繰り返せば身を守れるかも。
……って、よく考えたら、探索スキルみたいなもの持っていれば簡単にそういうの見つけられるのにな。
「なぁ、リオ、どうだ?あの美味しいのあったか?」
サージスさんがいつの間にか目の前にいた。
「あー、えっと、まだ分からないです。仕分けは出てから落ち着いてと思って……」
しまった。しまった。考え事してぼんやりドロップ品を拾っている場合じゃなかった。
だけど、2人がいるところで宝箱を開けて、糞を見られたら回収できないし……。
「そうか、じゃぁ、とりあえず持ち運べるだけ持ち運ぶとするか。まだ、入るよな?じゃ、2階層行くぞ!」 サージスさんが私とシャルを抱えて 1階層の奥、2階層へと続く階段まですっ飛んでいく。
うひょー。すごいスピード。
思わず片目を……【スキルジャパニーズアイ発動】
どもー。
頑張り方は色々あるんです。
苦手だ無理だっていうことをがむしゃらに頑張るより、
好きだ得意だってことを楽しんで頑張る方が成果は上がるのは当たり前
でも、苦手だけどやらなくちゃいけないことがあるなら、嫌だなーって思うより、ちょっとでも楽しいこと考えながらできたらいいですよね。
例えば「よし、大嫌いなこれを終えたら、自分にご褒美プリンポイント加算」とかさ。
え?プリンポイントは10個貯めると、プリンを、ダイエット中でも1個食べてもいいと言うとてもありがたいポイントですよ?
あと、他には焼肉クーポンというのも、頑張り次第で発券されます。
ちなみに、ルーレットだとかくじ引きみたいなスマホアプリとか使って、
がんばったら1回くじ引ける。あたりがでたら○○みたいな感じもありです。
さ、私、書く気が起きない小説を時々書くことがあるんですが、
かこれ書いたら、こっちの書けるって、小説書くために小説書くことをご褒美に設定することがあります。
('ω')ノたぶん、分かる人にはわかる。