72話
「さ、サージスさん、行きますよ」
シャルが私の手首をつかんで部屋を後にする。
サージスさんが、慌ててシャツを着て追いかけてきた。
「ちょ、行くって、朝ごはん、朝ごはんは?」
「どっかで食べればいいでしょ」
「えー、リオの作ったやつ食いたい」
サージスさんの言葉にシャルが振り返る。
「調理場付きの拠点が見つかれば、もっと手の込んだ料理を作ってもらえるかもしれませんよ?」
え?
まって、まって、私、そんなに料理が得意なわけじゃないよ?
期待されても困る。ううん、無能スキルしかない私に期待してくれるんだ。
料理系スキルなんてないけれど、それでも……。頑張らなくちゃ。料理も勉強しよう。
ああ、そういえば、あの隠し部屋の本、ジャパニーズアイで浮かんだ謎の文字に「味噌料理」とかもあった気がする。
「あ!しまった!」
そうだ。その味噌がもうなかったんだ。
「どうしたんだ、リオ?」
「えーっと、ドロップ品の、その、調味料がもうなくて……」
ハズレドロップ品の「糞」と呼ばれるものだけに、市場にも出回ってないし……。
「な、な、な、なんだって?」
サージスさんが膝から崩れ落ちた。
「ギルドなんて後だ!行くぞ、シャル、リオ!」
うわぁっ!
腰をひっつかまれて持ち上げられる。右に私左にシャル。
そのまま二人を抱えてサージスさんは走り出した。
「ちょっ、何するの!だから、嫌なんだよ、暑苦しいっ!」
シャルがうんざりした顔をするけれど、抜け出そうと思えばスキルですぐに抜け出せるはずなので、本当は全然嫌がっていないのかも。
「抱えて走らなくたって、自分だけ先にダンジョンに向かって僕を呼べば、リオと二人で飛んでくのに……」
あ、それもそうだね。無駄に体力消耗させちゃうよね?
「考えるより先に体が動くタイプはこれだから……」
ふふ。
「でも、きっと、考えてから動いていたら、素早いモンスターの動きに対応できないんですよね。こういう日々の反射的な動きも訓練になっているのかもしれないですね」
シャルがむっとする。
えー、なんで?どうして?
「さ、ダンジョンに付いたぞ。調味料は何階層に出てくるんだ?」
ダンジョンの入り口まで、サージスさんがすごいスピードで走ってきた。あれぇ?歩くと頑張っても30分とかかかると思ってたんんだけど、5分か10分とかめちゃめちゃ早かったんですけど……。
あーっと、ハズレドロップ品の糞と呼ばれるものは、特に決まりは無いんだよね。どの階層でも出てくるはず。
「どの階層でも運次第で……モンスターの種類もそれほど関係ないと……」
今日も読んでくれてありがとうございます。
ところで、昨日「四半期総合ランキング」を見たら……
「へ?1位のこの作品のタイトル……無能スキル……かぶってる(のは珍しくもなんともないから別にいいんだけど)けど、ダンジョン内転移が無能スキル?いや、シャルとかめっちゃすごいんですけど、リオがすごいすごいって目を輝かせてるんですが……」ってなった。
タイトルしか見てないから、実際どんなスキルかもわからないのですが……。作品違えばいろいろね。
今までこの作品知らなかったのかよ?と思った人もいると思うんですが、最近、ランキングとか「短編」もしくは「完結」に絞って目を通していたので……昨日珍しく「連載中」に絞って見て気がつきました。
こっから本当にどうでもいい話なんだけど、
最近、連載を追うということができなくなりました。
なろうだけじゃなくて、漫画とかも……。
発売から発売まで間があくと、もう前の話すっかり忘れるんで……。同じような人いるのかな。
昔は続きが出るのをワクワク楽しみにして、コミック発売一覧とかチェックして「あー、来月は○○と○○と、○○が出る!」みたいな生活だったんだけどなぁ……。
で、なろうの小説も、連載中のものでも100話オーバーのを、書いてある部分まで読んでおしまいなんです。変な読み方ですけど、100話まで楽しむ。その先の連載は追わない……。
てなわけで、1巻で話がある程度終わる書籍版を買って読むが一番効率がいいんですよね……私の場合。
漫画だと、オール読み切りの増刊号みたいな雑誌。
もしくは、読み切り連載的な、続き物ではないやつ。エッセイ系とか動物系とかそういうの。
そんな私ですから、逆に私の作品をブクマしてくださり、連載を追ってくれている方には感謝しかありません。自分ができないことだから、尊敬しちゃいます。
人によっては、いくつもいくつも連載を追っているんだと思うんです。すごいなぁ。
あ、そんな読み方しかできない最近の私ですから、
お勧めの完結作品を教えてもらえると喜びます。タイトルを直接書くのは流石にどうなのと思うので、
「花 間違い」で検索して出て来る42話のやつ、みたいな暗号めいた感じで、おすすめがあればぜひぜひお願いします。
リオ「シャルはすごい。すごくて大好き」
シャル「そうだ、僕はすごい。すごいって分かってるリオのことは嫌いじゃない」
リオ「にこぉ」
シャル「……気に入ってる」
リオ「にこにこぉ」
シャル「……ぼ、僕も、リオのこと」
リオ「あ、サージスさん、サージスさんってすごいですよね、サージスさんはすごいのに努力も重ねてるし、尊敬します」
サージス「おう!ありがとうなリオ。お前みたいなやつ、俺は大好きだぞ!」
いや、もう、なんか……