62話
何、なんで怖いの私の方だよ。慣れてない買い取りだから失礼なことしちゃったのかと思ってるのに、なんで店員さんが震えてるの?
「ネース、いや、あはは、お前、もっと頑張れるだろ?銀貨120枚と言わずに、どんと、150枚くらい出すって言えよ、な?」
店員さんが、ネースさんの背中をバンバンとたたいて後ずさるようにカウンターの奥へと引っ込んでいった。
ネースさんが頭をぐんっと勢いよく下げる。
「申し訳ありません、さすがに銀貨150枚までは無理で、頑張って、ギリギリで125枚……で……」
ええ?
「ま、まってください、頑張らなくていいです、あの、その、無理して、今度から買い取れないって言われても困るし、それに、その、買い取り価格は、ギルドだと銀貨80枚になるはずで、銀貨100枚でも十分あの、十分なんで」
ネースさんが顔をあげた。
「え?えっと、えーっと」
「だから、銀貨120枚も、もらい過ぎですから、あの、銀貨100枚で……あ、でもこれ、僕だけのドロップ品じゃないから、えっと、でもネースさんに無理してもらいたくもないし、じゃ、じゃぁ、あの、銀貨100枚にその、頑張ってもらった分銀貨10枚で、銀貨110枚……で、お願いできないですか?」
ネースさんがポカーンとして口を開いたままだ。
「ご、ごめんなさい無理なら、えっと、銀貨100枚で」
「いえ、全然無理ではないです、あ、ありがとうございます。あの、すぐお金を用意いたします」
ネースさんが品物をまとめて持って行き、ものの1分で戻ってきた。
「ご確認ください、リオ様」
差し出されたお金を数える。
「多いですよ、銀貨120枚あります」
ネースさんが首を横に振った。
「適正価格です」
「……(本当かなぁ……)」
「無理していません」
「……本当に?あの、これからもギルドで買い取ってもらえないから、ちょこちょこと持ってこようと思っているんですけれど、無理しすぎて続かないと困るので……えっと……」
「武具以外の買い取りはどうするおつもりですか?」
「はい、あの、他のお店にお願いするつもりなんですけれど……」
「でしたら、私が系列のお店をご紹介いたしましょう。ご案内します」
「本当ですか?えっと、そこまでしていただいて」
「いえ。騙されるといけません。というか、騙されます。騙させません。ちゃんと私が、皆に説明させていただきます。ええ、リオ様を敵に回すとどのようなことになるのか、きちんと……説明を……」
ぼそぼそとネースさんが何かつぶやいている。
ネースがリオの味方に付いた
チャッチャチャーン
信者獲得。