61話
「えっと、今日は買い物じゃなくて、買い取りがお願いできないかと思って……その、しばらくギルドでは買い取りができないということなので……」
「買い取りですね、もちろん防具でしたらいつでも受け付けております。どうぞ、こちらへ」
ネースさんの案内で買い取りを行っている場所に案内された。販売場所とは別に入り口もあったようだ。
「おい、ここで銀貨10枚で買った品だぞ?銀貨3枚での買い取りってどういうことだよっ!」
ああなるほど。ダンジョンでのドロップ品だけでなく中古品の買い取りもしてくれるっていうことなんだ。
「随分使い込んでおりますし、ここに修復不能の欠けもありますので……買い取り価格にご満足いただけないようでしたら、他の店にお持ちください」
買い取りカウンターに買い取り希望品を順に並べていくと、ネースさんが鑑定持ちの人を呼んできて、一つずつ鑑定して記録を取り出した。
「これは防御力3」
うん、思っていた通りの結果が次々と出されていく。
っていうことは、合計で銀貨80枚くらいになるかな。
すべてを鑑定し終わった後に、ネースさんがメモした紙の横に何かを書き込み始めた。ひとつづつの買い取り価格かな?
「【スキル発動計算】」
あ。ネースさんは計算スキルを持っているんだ。すごいなぁ。私なんて計算するのに、一つずつ足しながらメモしないと7個を超えたあたりから覚えていられる自信がないよ。
「お待たせいたしました。こちらのまとめてお売りいただくということでしたら、合計で銀貨100枚のところ上乗せで120枚で買い取らせていただきたいと思います」
ネースさんがにこりと笑った。
「え?ちょっと、それは……」
銀貨120枚?いやいや、いくらネースさんがいい人でも、おまけしすぎだよ。ギルドだと銀貨80枚の買い取り価格だよ?銀貨100枚になるだけでも驚いちゃうのに、120枚?
私がびっくりして声をあげると、ネースさんが慌てて頭を下げた。
「えーっと、で、ではもう少し頑張らせていただいて……」
え?ええ?
隣で一仕事終えた店員がネースさんを肘で小突いて割り込んできた。
「お客様、いくら3か月はギルドでの買い取りがなくなったからと言って、市場が品薄になって高く売れるんじゃないかと思われてもね、こちらとしても商売ですし、ある程度の在庫も抱えていますから、気に入らなければ別の店に行っていただいてよろしいんですよ?」
ニヤニヤと笑う店員さんの顔が怖くて、助けを求めるようにネースさんを見る。
「え?片目が、黒い?……まさか!」
割り込んできた店員さんが私の顔を見てびくりと肩を縮める。
ありがとうございます。
皆様のおかげで、1万ポイントを超えることができました。
引き続きよろしくお願いいたします。
1万ポイント超えたので、本日もう一話更新いたしますとかやりたかったのですが、もう23時過ぎてて、予約更新ができないので、明日3話更新します。あはは、計画性の無い……げほん。