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52話

「ああ、だからこんなに大量に……さすがサージスさんですけど、けど……ここから千年草を探すのにどれくらいかかるか……」

 ハルお姉さんの涙は止まらない。

「ああ、これ、嬉し涙ね、千年草が1本でも多く見つけられると思うと……でも、だからこそ」

 がしっと、ハルお姉さんが私の腕に腕を絡めてぎゅっと身を寄せる。私とは違う豊満な胸がむにょんと腕に当たった。

「だからこそ、リオは渡さない。千年草を見分けられる人間は一人でも多くないと無理。鑑定スキル持ちが必死に仕分けしてるけれど、1日に使用できるスキルにも限界があるし、そもそも偽薬草と薬草の違いも分からないボンクラ冒険者たちが欲に目がくらんでやみくもに持ち込むから、その受付だけでも……」

 シャルがそこでふっと笑った。

「鑑定スキル持ちだったね、まだスキルが使えるなら、これの鑑定頼める?」

 シャルがギルドの入り口でこちらの様子をうかがっていたギルド職員の一人を手招きしながら、ウエストポーチから千年草を1つ取り出した。

「【スキル発動初級鑑定】」

 初級鑑定とは、品の名前だけが表示されるものだったはず。性能効能その他の情報が何も表示されない代わりに使用回数が増えるらしい。

「あ、千年草、当たりです!」

 ぱぁーっとギルド職員の40前後の男性の顔が輝いた。

 シャルが私を見てちょっと目が笑った。

「じゃ、次はコレ」

 シャルがウエストポーチからもう一つ千年草を取り出しギルド職員に手渡す。

「【スキル発動初級鑑定】……え?これも、千年草です……すごい、2つも……」

「すげー、千年草を2つも見つけたらしいぞ」

「さすがサージス様だ」

「あっちの山は全部薬草で偽薬草は混じってないらしいぞ。あんなにたくさん薬草を取ってやっと2つか……」

 なんでシャルは1つずつ出すのかな?スキルを順番に使ってもらうため?

「ところで、千年草が取れると知れ渡ってから、ギルドに持ち込まれた千年草はいくつ?」

 シャルの問いにハル姉さんが答える。

「3つよ」

「へぇーたったの3つ」

 シャルが無感情な声で相槌を打つ。

「ま、まだあと2つか3つはあると思うわ。ただ鑑定が追いつかないのよ。だから、だからリオを……」

 シャルが無言で鑑定スキルを持ったギルド職員にウエストポーチからもう一つ千年草を取り出して手渡す。

「えーっと、【スキル発動初級鑑定】ああ、これも間違いなく千年草です」

 冒険者たちのざわめきが一層大きくなる。

「これで、同点。とはいえあと2つか3つはあると言ったね?」

 シャルが口元だけに笑いを浮かべる。なんか怖い表情だよ。

「え、うそ……まさか……」

 シャルが今度は3つ取り出して職員に手渡す。


ご覧いただきありがとうございます。



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― 新着の感想 ―
[一言] 残念! リオさんは砂浜そのものが微小ダイヤモンドと原石なのでした!
[一言] ???「出口(大量在庫からの選別)で選別するより、入口(ポツリポツリと入荷)で選別した方が楽なのです!」
[一言] あーやっぱり、砂浜でダイヤモンド捜すようなことになっていた・・・
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