第四十九話
「ほら、さっさと受け取りなよ」
「え?僕に?」
びっくりして目を丸くする。
「何?ボクがケチだとでも思ってるの?」
「で、でも、どれも山で取ったりドロップ品で、全然お金かかってないし……」
シャルが眉根を寄せる。
「何?買ったパンは受け取れないの?ボクにも、材料を無料でかき集めてパンを焼いてから手渡せっていうつもり?すごい手間だよね?ねぇ?」
パンの材料を無料でかき集める?もしかしてもっと高層階でドロップするとか?まだ必要のない階層のモンスターは知らないこといっぱいあるんだよね。
「ちょっと、何考えてるの?パンの材料がドロップするとでも思ってんの?そういうことじゃない、麦を育ててパンを作れって言われたって嫌だっつってんの、そういうお金を使わない手間が無料だと思ってんなら大間違い」
?
「まぁ、そういうこった。つまり、なんだ、ここはリオ食堂な、原材料無料だからって、金払わない客に来てもらったら困るだろ。俺らは客だから金払うべきだ。まぁ、俺は肉、シャルがパンが金替わりだって思ってくれ」
「食堂?……そんな、僕が作るものはお金が取れるようなものじゃなくて……」
むしろ、通称糞を使っているなんて知られたら、慰謝料払えとか言われそうな……。さーっと青ざめる。
「ぐおう、何だこれ。これもドロップ品使ってるって言ったか?うまいな。癖になりそうな味だ」
サージスさんがカレースープを飲み始めた。あの、話の途中……。
「ちょっとサージスさん、鍋から直接って、僕の分は?ん?リオが手にもってるものは何?同じみたいだけれどちょっとドロッとしてる。スープというよりシチューのような……ああ、パンにつけて食べるとか?」
シャルがコップを手に取り、パンをちぎってつけて食べた。
「ぐ、何なの、これ……何種類のスパイスを使ったらこんな味になるの。贅沢な味……初めて食べるけれど、なんでこんな美味しいドロップ品が世に出回ってないわけ?」
それは、誰も見向きもしない……。パッと見がその……あれなやつで……。きっと鑑定もしないまま放置されてるんじゃないかなぁ……。
鑑定持ちじゃなくても、宝箱開いてすぐに判断して捨てていくんだと思う……。
「そりゃよっぽど見分けるのが難しいドロップ品なんだろ。千年草をパッとみつけられるリオレベルじゃないと」
サージスさんがなぜか自慢げに私の頭をなでる。
「てなわけで、荷運び人としてギルドに登録しに行かなくちゃな」
ニヤニヤ顔のサージスさんにシャルが表情を変えずにウエストポーチをぽんぽんとたたいた。
「だから、100階層にサージスさんに行ってもらったんでしょ。これ見たら、誰もリオを軽視したりしない」
え?
……一つ前のタイトルが……ま、いいや。
今日も見てくれてありがとうございまぁぁぁぁす!
うーんと、リオのすごさをみせてやるじょー