第47話
「じゃ、帰るか、腹も減ったしなぁ」
サージスさんが本を数冊手に持って出口に向かう。
ああそうだ。私とシャルがダンジョンに入る3時間も前にサージスさんはダンジョンに入ってこの階層まで戦い進んできたんだ。
「ご、ごめんなさいっ!帰りましょう!」
おなかも空いてるだろうし、疲れているだろうし……。
慌ててサージスさんの横に並んで部屋を出る。
3人とも外に出た瞬間に、ががががと地響きのような音がしはじめ、後ろの壁が閉じていく。
「うわー、きれいさっぱり元の壁だな」
「ああーーーっ!な、な、ない!」
きれいさっぱり、手に持っていた本が姿を消した。
「おお、なんだ、持ち出し禁止なのか?換金も出来ないとなれば、そりゃハズレドロップ品だって言われるはずだな」
サージスさんも手に持っていた本がなくなって頭をかいた。
読んでみたかったな。
「まぁ、面白い経験できただろ」
サージスさんが私の頭をぽんっとたたいた。
「無駄な時間ではありましたね」
シャルの言葉に心臓をつかまれる。
無駄……そうか。
そうだよね。ジャパニーズアイで文字が浮かんだっていっても、結局その文字が何を意味しているのか分からなかったし。
なんだか、私のスキルが無駄だって言われたようで、心がチクチクする。
無能スキルだから無駄だと言われても当たり前なんだけれど……。
「いやいや、面白かったからいいだろ」
サージスさんがニッと笑った。
あ、どや顔だ。……文字が浮かばないけれど、こういう顔をどや顔っていうんだよね。
ん?文字が浮かばない?スキルの発動時間が終わったのか。
「じゃ、帰ろう帰ろう」
サージスさんが私の腕輪の石をぽちっと押す。
すぐにダンジョンの外に出ていた。サージスさんとシャルもほぼ同時に姿を現す。
「腹減った、リオ、またあの肉焼いてくれよ~上手いやつ」
ああ、朴葉味噌のことかな?
「はい、じゃぁすぐに作りますね。えーっと、この前の川の近くでいいですか?」
「おう、適当に狩りしてから行くからな」
サージスさんがシャルを引っ張って行った。
「ちょっとなんでボクまで」
「おまえリオにマーキングしてあるんだろ?まだ飛べるんなら、狩りのあとすぐリオんとこ行けるじゃん」
ぶつぶついいながらシャルがサージスさんの後をついていく。
河原に向かう間に食材を回収。
「あ、そうだ。朴葉とか山椒とかジャパニーズアイで見つけたんだ。また何か見つかるかもしれない」
片目を隠す。【スキルジャパニーズアイ発動】
あ、さっそく【西洋山葵:ツーンとする】
西洋山葵?ツーン?ツンデレのツーン?よくわからないけれど獲っておこう。
他には特にスキルが反応するようなものは見つけられなかった。けれど、本当にいろいろな物が豊富だ。
朴葉味噌の準備は葉っぱと味噌と山椒の実の皮をすりつぶした物で終わり。
雪平鍋に、きのこと山菜と山芋を入れて煮込む。
「あとは味噌を……」
と、いつものように糞と呼ばれる宝箱を取り出して蓋を開けると……。
「あれ?もうないや……」
手の平に乗るほどの大きさの宝箱の中はほぼ空だ。
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