46話
【鬼百科事典】
「鬼……」
神父様が教えてくれた話を思い出す。
千年草が現れるときに訪れる厄災。鬼というものが現れたこともあったと。その鬼?
鬼百科事典に手を伸ばしてページを開く。
全く見たことのない文字が並んでいる。だけれど、その一つ一つにジャパニーズアイのスキルで文字が浮かびあがっている。【赤鬼:貪欲】【青鬼:瞋恚】【白鬼:悪作】【緑鬼:睡眠】【黒鬼:疑惑】【酒呑童子】【天邪鬼】【獄卒】【悪鬼】【夜叉】【餓鬼】【牛鬼】……
「うわ、すごい……多い……」
神父様に教えてもらったものの何倍も種類があるようだ。百科事典というくらいだから当たり前かな?
「リオは何を見てるの?文字が読めないでしょ?」
シャルが私の手元の本を取り上げパラパラとページをめくる。
「モンスターの絵?本当、リオは好きだね。モンスターとかドロップ品とか……」
ああ、ページをめくると絵もかいてあるのか。
「勉強熱心なんだよな。リオ、好きな本持っていけ。文字が読めなくても絵がかいてある奴なら勉強になるかもしれないもんな」
サージスさんが頭をなでなでとする。
「まだ鞄に入るだろう、これと、それからどれが欲しいんだ?」
サージスさんが【鬼百科事典】を私の背中の鞄に入れてくれた。
「えーっと」
売ると高いって言ってたけれど、私がもらってもいいのかな?売る前に読ませてもらえば問題ない?
気になる本を探そうと、必死にタイトルの横に現れる文字に目を通していく。
【オタクガール、悪役令嬢に転生する】
ん?そういえば、私に【オタク】って表示されたよね?オタクについて書いてあるの?
【名刀100選】
名刀?手に取って目次らしいページを開く。えーっと。ドロップ品で細い剣だから使えないと言われたやつ、拾ってきたけれど何だったかな。
【三日月宗近】【童子切】【大包平】【鬼丸国綱】……鬼?
名前に鬼がついてる。「スライム剣」とか「ゴーレム剣」みたいな感じ?名剣スライム……みたいな?
【和泉守兼定】
「そうだ、これ!」
確か兼定て出てた。ページをめくって見ようとすると、シャルに取り上げられた。
「さっきから話かけてるんだけど、無視するとは言い度胸だね?」
え?話しかけてた_。シャルからでこピン食らう。ううう。
「また来ればいいから、帰るよ。こんな読めもしない本、価値がないかもしれないし」
え?私のスキルで少しは内容が分かるってことは、きっともっとすごい鑑定スキルとか持っている人にはしっかり読めるんじゃないかな?いや、まって。たとえ読めたとしても、意味が分からないのかもしれない。オタクとかツンデレとか聞いたことのない単語が多いし。
いつもありがとう。
なんと、富士ゆゆの本も置いてあるみたいです('ω')ノひゃっはー!
あぶない。富士とまとの本っていうとこだった。
置いてほしい本があれば、いつでも置くよ!