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44/209

44話

「残念ながら、毎回毎回、金色に光って、何も出さない。いや、あれが出ておしまい」

 サージスさんが奥の壁に現れた窪みを指さした。

「何あれ?」

「さぁな?高名な鑑定士が鑑定しても何も情報が得られなかったから、何でもないんだろうな」

 ダンジョンの岩の壁には、剣を叩きつけて傷つけたような窪みが4つ。

「ったく、もしかしてリオはドロップ品マニアなわけ?」

 シャルのでこピンが飛んできた。

 痛いんだよ、地味に。と、片目をつむる。【スキルジャパニーズアイ発動】

 【ドロップ品オタク】

 へ?私の手に文字が浮かび上がる。何?オタクって?

「あー、もうモンスターでないし、解除解除」

 シャルがロープをほどいた。【ヤンデレ】シャルにも相変わらず謎の言葉。【どや顔】サージスさんの顔の横の表示の、この「どや」って何だろう?

「あ」

 壁に現れたへこみにも文字が浮かんでいる。遠いから文字が読めない。近くに行かなきゃ。

「ちょ、リオ、お前、急に走り出すな、そんなにボクと距離取りたいわけ?って、転んだ、馬鹿なの?」

 転んでひざぶつけた。痛い。

 膝を擦り擦りしてると、お腹に太い腕が回った。

「帰ったらポーションやる」

 持ち上げられた。もうちょっとで文字が読める。サージスさんの腕をするりと抜けだし、壁のくぼみに向かって3歩ほど歩いたところでまた捕獲された。

「ほれ、帰るぞ」

【開けゴマ】

「開けゴマ?」

 ゴマってそもそも何?開けって、何を?

「なんだ?」

 サージスさんが私に聞くけど、私もよくわからない。

「あ、あれ!」

 シャルが声をあげる。

 ゴゴゴゴゴと、大きな音を立てて、岩の壁だと思っていたダンジョンの奥が、まるでとびらのように左右に開き始めた。

「お、おい、リオ、お前何をした?」

 私を腕に抱えたまま、サージスさんが開いた扉に向かって走り出した。

「馬鹿ばっかりか!罠だったらどうするのっ!」

 シャルがぱっと目の前に現れて両手をふさいでゆく手を阻んだ。

「うお、そうだった。そうだった。距離を取って様子を見てから」

「ったく、今のでスキル使えるのが後2回になった。部屋に入って罠だったときはすぐに飛び出すから。ボクから二人とも離れないでよ」

「よしきた!」

 サージスさんがシャルのお腹にも手を回してもう片方に抱える。

「馬鹿なの、ねぇ、両手ふさいじゃって、剣持てないでしょう?」

 シャルがぺしっとサージスさんの手をはたいた。なんだ。シャルは私が無能スキルだから言葉遣いが厳しいのかと思ったら、そうじゃないんだ。

 シャルが私の手を握った。

 あ、指先が冷たい。もしかして緊張してる?

「危険な罠があるかもしれないから、行かないって選択肢もある」

 シャルの言葉にサージスさんが笑い飛ばした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「(ステータス)オープン!」 すると扉が開いた……
[気になる点] イングリッシュ・アイだとオープン・セサミになるんだろうか? でも、爆裂宝物な予感がヒシヒシとしてきますねー。
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