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33話

 ただがむしゃらに頑張るだけじゃだめだ。

 というより、みんな生きていくために、お金を稼ぐために頑張っている……。頑張っているのは普通のことで。

 私のような無能スキルは頑張るだけじゃ足りないんだ……。

 下を向いてしまった私の頭をぽんっと大きな手がたたいた。

「気にするな。シャルスの成果主義はいつものことだ。頑張りますと口ばっかりで頑張らないやつも多いからな。ほれほれ、そんな怖い顔してないで、食え」

 サージスさんが木の棒に刺した肉をシャルスさんの口に突っ込んだ。

「むぐっ、なにす……」

 もぐもぐ、ごくんと、文句を途中にシャルスさんが肉を食べた。

 それからすぐに腰を下ろすと、木の棒で朴葉味噌の肉を刺してぱくりと口に入れる。

「で、サージスさん、ボクのほかに荷運者を雇うってどういうこと?よほどすごいスキルでも持ってるわけ?」

 鋭い目を向けられ、体が固まる。

「ご、ごめんなさい。僕はスキルは……」

「おう、かっこいいスキルだぞ、ほら、片目の黒いの。これがリオのスキルだ。誰にも真似できないだろ?」

 サージスさんが私の左目を指さすと、シャルスさんが口の端をゆがませた。

「無能スキル……。おまえ、どうやってサージスさんに取り入ったんだ?言っとくけど、無能スキルがボクに勝てるわけないよ?」

 サージスさんががしっとシャルスさんの頭をわしづかみにした。

「シャルス、荷運者勝負なんてさせないよ。お前には今まで通り深層階に到達したら荷運を頼む。リオには、浅層での荷運を頼むんだ」

「は?サージスさん、ダンジョン浅層なんて大したドロップ品が出ないから無視してたのに、どうして」

 サージスさんが鍋をシャルスさんに差し出す。

「飲め」

 シャルスさんが素直に鍋を受け取り、猪鍋をごくりと飲んだ。

「……まさか、ご馳走を食べさせて話をそらそうとしてるわけじゃないですよね?」


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― 新着の感想 ―
[一言] 餌付けされた人がさらに餌付けを…… 主人公、ある意味、「超高性能スカベンジャー」かな? (主人公以外からゴミ認定されているお宝を拾い集める) 日本人眼だけじゃなく、絶対記憶での識別能力も…
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