24話
「もったいないよねぇ、いっぱい食べるものあるのに!」
木の実にキノコ。それから山芋に山菜。
私の住んでいた町では当たり前に採取して食べていたそれらに、冒険者たちは見向きもしないのだ。
まぁ、街に戻れば、もっと美味しい料理が食べられるお店がたくさんあるんだから。当たり前といえば当たり前なのかもしれないけれど……。
「無料なんだよ?もったいない」
森で取って食べれば、お金が減らないんだよ。
だけど、調理器具がなかったからあきらめてたんだけれど……。
「じゃーん。鍋!鍋が手に入りました!」
頭の上にのせていた兜の取っ手を手にバーンと掲げる。
前々から目をつけていた、いくつかの食材を収穫して、これまた前から目をつけていた水場……小川へと向かう。
食材の泥を落とし、ナイフで皮をむいたり刻んだりして鍋に入れる。
うん、ちょうどサイズ的に1人前作るのによさそう。
石を拾って鍋を置く場所を作り、拾い集めたからっからに乾いた木の枝。薪となるものなどを集めて、いざ。
ぐつぐつと鍋に入れた食材にいい感じに火が通る。
鞄にぶら下げてあった、金属のカップに鍋の注ぎ口から汁と具をどっと注ぎ入れる。
「あつ、あ、あつ……」
木の枝をスプーン代わりに一口。
「んっ」
山菜の……香りと味がダイレクトに……。
……。温めて煮込まれてくたっとなった山菜と山菜の味が染み出たお湯……という感じだ。
「ああ、そうか。塩もないから」
いろいろな調味料や香辛料は王都に近い町だからか売っているのは知っている。だけれど、どれもとても手が出せるほど安くはない。いつものように使っていた安い屋台や食堂の料理も、せいぜい使われている調味料は塩だけだ。もしくは、保存用に大量に塩を刷り込まれた干し肉を入れることで、スープに塩味がつく。
「鍋があるし、これからも森の恵みをいただいて食べるなら、塩は買おうかなぁ……」
ポケットからお金の入った巾着を取り出そうとして、ころりとポケットに入れたままになっていた宝箱を落としてしまう。
「あ、そういえば……これ……」
片目をつむって宝箱を開ける。
【スキルジャパニーズアイ発動】頭に響く声。それから白い文字が宝箱の中身に表示されている。【味噌:調味料】
ドロップアイテムで、ハズレ宝箱と言われるものの代表格。蓋を開けると中には、どう見てもそれっぽい「糞」と通称呼ばれる品だ。
「……どうしようか……」
ジャパニーズアイが信用できるのかできないのかさっぱりわからない。
ご覧いただきありがとうございます!
ついに、使うか?使わないのか?
ジャパニーズアイの本領が発揮されるのか?
感想ありあがとうございます。返信が出来なかったり遅かったりしてごめんなさい。めっちゃ楽しみにしています。
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