22話
「なるほど、こいつは重たいな。首に負担もかかるし、安定感も悪い。そのくせ、防御力1しかないのか……そりゃ、売り物にもなんねぇで器に使うわけだ。……で、いくらだ?」
あれ?
「サージス様にはいつもごひいきにしていただいていますから、銀貨1枚でよろしいですよ」
店主が揉み手をした。
「そうか、じゃ、これ代金な」
サージスさんが店主に指先でぴんっとはじいて金貨を1枚渡した。
え?銀貨って言ってるのに金貨?細かいお金持ってなくておつりをもらうのかな?と思ってたら釣りはいらないとか言ってる。ええええ!
「サ、サージスさん、あの、僕が間違っていたみたいで、レアドロップ品じゃないのに、買うんですか?しかも、銀貨1枚の品物に金貨なんて……細かいお金がなければ、僕が建て替え……あ、このお礼に払います」
サージスさんにもらった腕輪が視界に入る。銀貨1枚なんてお礼にならないかもしれないけれど……。
「何言ってんだ。これ、レアアイテムだろ?金貨1枚でも安いくらいだ」
自信ありげにサージスさんが笑う。
冒険者たちも店主も店員も唖然としてる。
「なんだ、分からないのか?星が1つもない無印は、ドロップ頻出品だろ?もしそうなら、リオの買った兜も、俺の買った兜も、もっとたくさん見たことがあるはずだ。そうだな、今頃売り物にならないと取引対象外商品として有名になっていても不思議はない。それなのに、初めて見たってことは、鑑定スキルの方が間違ってるんだろ」
「な、何を言ってるんですか、サージスさん。鑑定スキルが間違えるわけないですよっ!」
サージスさんが店主に手を振った。
「ユニークアイテムが星10だろ、もし、その上の星があれば表示されないとか、そもそも、どんな防具でもと言ってただろ。そもそも防具じゃない可能性もある」
……ああ、確かに。
防御力をあげる効果があるから防具だと思い込んでしまいそうだけれど……。
というか、基本的に「防御力」が上がるものは防具として、「攻撃力」が上がるものは武具として仕分けされる。指輪や腕輪など、形で仕分けることはない。買う人間も、買いやすいし、売る人間もご一緒に攻撃力が上がる指輪はいかがですか?と売りやすいらしい。
魔力が上がる、魔法の威力が上がるというものは魔具屋の領域になる。素早さが上がるだとか気配を消すだとかどの役割の人間にも役立ちそうな物は支援具ということになる。
まぁ、なので「防御力」が3と表示されていれば、防具の部類で……形から兜だと判断されても間違いではないといえばないんだけれど……。
ジャパニーズアイには、僕のは雪平鍋。サージスさんのは土鍋と、両方とも鍋になってるから……。調理器具であれば武具じゃいですよね。