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「一つ心当たりがあると言っていたのはこちらです」
セーバスさんがポケットに納めていた防具を取り出すと、すぐに文字が浮かび上がる。
【額当て:鉢金ともいう。刀を額に受けた時に守る】
額当て?
思わずおでこに手を当てる。刀という単語が出てきた。刀って、あの細い剣のことだよね。
「何、これ、ピンクのハートの模様?」
シャルが、布につけられた金属の部分を指さした。
うん、なんか白い鉢巻のような布の中央部分に、金属のパーツがついている。それにはピンクのハートの模様。
ハートなのかな?なんだかちょっとぷっくりしてて、ハートっぽくない気もする。
「これは、まぁ、確かに……サージスさんとか他の冒険者には無理かもね……リオになら合いそうだ」
シャルがちょっと笑いをこらえている。
うーん、サージスさんにハートの額当て……。想像して、確かに、なんだか、ちょっとおかしいような……。
「いえ、そういう意味で持ってきたわけではないのです」
セーバスさんが首を振った。
「これであれば、兜の下に装着できます。それに力のない物にも負担にならない重さですから」
セーバスさんの言葉にふぅーんとシャルが私を見た。
「ありがとうございます。はい、僕、このユキヒラはずっと使いたいから、この下に装備できるなんて嬉しいです。それに、力がないのも事実なので軽いのも助かります」
「気に入っていただけたようで。相性もあります。試してみますか?」
「あ、はい」
雪平鍋をシャルに持っていてもらって、額当てを頭に当て、後ろで紐を結ぶ。……ん?なんか違和感。
一度外して、上下を逆にしてはめなおす。
「何してんのリオ、ハートが逆さまになったよ」
「あ、うん。でもなんか、こっち向きの方がしっくりくる……見た目変?」
シャルがすっと私の髪に手を伸ばして、前髪を整えてくれた。
「まぁ、そんなに見えないしいいんじゃない?っていうか、むしろ変なほうが、余計な虫が寄ってこなくて」
「え?」
「何でもない」
「あ、もしかして、これ付けてたら、でこピンから身を守れる?」
「は?」
「何でもないです」
と、会話をしていると、いつの間にかセーバスさんの後ろに年かさの女性の姿があった。
「こちらが私の妻です」
「あ、初めまして。あの、客のリオです」
ん。ちょっとおかしなことを言ってしまった」
「リオ様、つけた状態で、鑑定させていただいてもよろしいでしょうか」
「え?あ、はい」
セーバスさんの奥さんが一歩前に出て、鑑定スキルを発動した。
「これは……。そちらの品は防御力が78。ですが、条件補正で3000付きます。しかし条件が今まで分かりませんでしたが。リオ様が身に着けたことで、今条件補正値が1500付いています。さらに、何でしょう……テイム補強……?」
「え?条件補正が?半分ついてるの?そんなことが……?」
奥さんの言葉にセーバスさんが私の顔を見て息をのんだ。
「目?もしかして、瞳が黒いということが……?」
セーバスさんの言葉にシャルが口を開いた。
ごぶさたしております。申し訳ないです。次回更新までもまたちょっと間が空くと思います。
それでもって、ガガガブックス様より近日書籍発売です。よろしくね。
裏話として「糞」が多すぎるので減らしましょう!と言われましたwww
どんなラノベなのだ!担当さんに「糞、減らしてもらったはずなのに、最終的に〇個まだあります」とため息をつかれるって!www
でも、「糞」は大事!これからも、ガンガン出すべよ。ちなみに、今構想しているのは、海ダンジョン。もう、お分かりですね?海と言えば……わははははー!